2019年2月26日~3月4日
原油情報 2019年3月4日
週末1日の原油相場は反落。弱気な米経済指標を受け、景気の先行きに対する警戒からエネルギー需要の鈍化が懸念された。週末を控えていることもあり、利益確定の売りに押された。
この日発表された2月の米ISM製造業景況指数を切欠に売りが先行した。同指標は2ヶ月ぶりに低下し、その水準は2016年11月以来の低いものとなった。また、2月のミシガン大消費者態度指数(確報値)も速報値から下方修正された。これらを受け、先行き経済に対する警戒が強まり、エネルギー消費が抑制されるとの懸念から売り物が集まった。また、直近高値を上抜けずに高止まりしている状況下、週末を控えていることもあり、一旦利益を確定する動きが強まった。
ただし、下値は堅かった。ロイターが伝えたところによると、2月の石油輸出国機構(OPEC)の産油量は4年ぶりの低水準となった。OPECらの協調減産の動きを好感した買いが下値を支えた。また、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数が前週比10基減の843基と2週連続で減少したこともサポート要因となった。これらを背景に底堅い買いも見られ、心理的な節目である55ドルを割り込むには至らなかった。
原油情報 2019年3月1日
28日の原油相場は続伸。特段目新しい需給材料を欠くなか、米経済成長に伴うエネルギー需要の伸長期待から買いが優勢となった。
時間外取引はやや軟調に推移した。この日発表された2月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が前月から低下、業況の改善および悪化の分岐である50を3ヶ月連続で下回った。市場予想をも下回り、3年ぶりの低水準に落ち込んでいる。これを受け、エネルギー需要を牽引する中国の需要伸び悩みが懸念され、売り優勢の展開となった。
しかし、通常取引開始後は一転して買いが先行する展開に。昨年第4四半期(10-12月期)の米GDP速報値が市場予想を上回った。また、シカゴ購買部協会発表の2月のPMIも前月から上昇、市場予想を大幅に上回り1年2ヶ月ぶりの高水準となった。これら良好な米経済指標を受け、景況改善に伴う需要伸長への期待が高まるとともに、投資家らのリスク回避姿勢も後退、買いを促した。このほか、米朝首脳会談で合意しなかったことを受け、地政学的リスクが幾分警戒された模様。
この日のWTI期近4月限の高値は57.43ドルと前日高値57.39ドルをわずかに上回ったが、前週末に付けた年初来高値57.81ドルが意識されており、57ドル台に入ると売り買いが交錯している。市場は米中通商交渉の行方に注目、同水準では様子見気分が強まりやすい。
原油情報 2019年2月28日
27日の原油相場は大幅続伸。米国の原油在庫の減少を背景に買いが先行した。また、サウジアラビア石油相がトランプ米大統領の牽制をいなす発言をしたことも好感された。
トランプ米大統領は25日、原油高について言及し、石油輸出国機構(OPEC)は落ち着くようにとツイッター上で不満を表明した。これに対してサウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相はこの日、落ち着いている、気楽に受け止めていると述べた。牽制を受け流す発言であることから、市場では協調減産を継続するとの見方が強まり、需給引き締まりへの警戒から堅調ムードとなった。
そこへ米国の原油在庫が予想外の大幅減少となったことが明らかとなり、急速に買い気が強まった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は予想(280万バレル増)に反して800万バレル以上の取り崩しとなった。生産量は過去最高を更新したが、輸入量の急減が響いた格好。輸入量は実に23年ぶりの低水準。サウジアラビアの出荷減と制裁に伴うベネズエラからの輸入減が影響した。在庫急減を受け、需給逼迫が意識されて買いが集まった。WTI期近4月限は一時57.39ドルと、前日引けから2ドル近く上昇する場面も見られた。
原油情報 2019年2月27日
26日の原油相場は小反発。強弱材料が交錯するなか、やや買いが優勢となったが上値は重かった。
石油輸出国機構(OPEC)の減産に対するトランプ米大統領の牽制発言を受けて軟調に推移していたが、減産は年内まで続くとの見方が広がり、買い戻される展開となった。サウジアラビアなど主要産油国が減産を履行するなか、イランやベネズエラからの供給不安も下値を支えた。また、ドルが対ユーロで下落したことにもサポートされた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、利上げに関して引き続き忍耐強く対応するとの見解を改めて表明したことで、ドルは軟化した。
しかし、上値も重く、買いは続かなかった。週間石油統計の発表を控えるなか、米国の原油在庫は6週連続の積み増しが予想されている。さらに米中通商協議の行方を見極めたい向きも多く、様子見から積極的に買い進む動きは見られなかった。ブルベア要因まちまちのため方向感乏しい動きとなり、前日とほぼ同値付近で取引を終えた。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比420万バレル減と事前予想(280万バレル増)に反して減少した。予想外の減少を受けて時間外取引ではやや買いが優勢となっている。
原油情報 2019年2月26日
週明け25日の原油相場は反落。トランプ米大統領の原油高に対する牽制発言を受けて売りが優勢となった。約3ヶ月ぶりの高値を付けていたこともあり、利益確定の売りも強まった。
米中通商協議の進展期待から確りとした地合いにあった。同大統領は前日、対中関税引き上げを延期することを明らかにした。貿易交渉も延長、両国首脳会談での最終合意を目指す方針を示している。難航する可能性も孕んではいるが、一定の前進が見られたことを市場は好感、リスク選好意欲が高まり、原油も買い支えられていた。また、サウジアラビアを筆頭に石油輸出国機構(OPEC)が減産に積極姿勢を示していることや、米国の対ベネズエラ制裁による供給不安もあり、需給面からもサポートされていた。
しかし、同大統領の原油価格に対する牽制ツイートを受けて地合いは悪化、急速に売り物が集まった。「Oil prices getting too high. OPEC, please relax and take it easy. World cannot take a price hike – fragile!」とツイート。同大統領は原油価格やOPECに対して再三ツイッターで不満をあらわにしており、今回のツイートも減産により価格上昇を促したOPECに対しての牽制ととれる。これを受けて市場は売り反応、直近に約3ヶ月ぶりの高値を付けたこともあり、一旦利益を確定する動きが強まった。
(提供元:CREEX)