2019年1月22日~1月28日
原油情報 2019年1月28日
週末25日の原油相場は続伸。ベネズエラの政情混乱やドル安を背景に買いが先行した。WTI期近2月限は一時53.94ドルまで値を戻した。
ベネズエラのマドゥロ大統領が23日に米国との断交を発表したことに対し、米政府は同国産原油の輸入を制限ないしは禁輸することを検討していると伝わった。実行に移れば、世界市場の原油供給が減少するとの見方が広がり、底堅い動きとなっていた。この日もこれを強材料視、堅調さを維持した。
そこへドル安が重なったため、買い気が強まった。トランプ米大統領はこの日、長期閉鎖となっている政府機関の一時的な解除で議会と暫定合意したことを明らかにした。3週間という限定付きだが、不安要因が一時和らいだことで、ドルが対ユーロで下落、ドル建てで取引される原油に割安感が意識された。また、これを受けて株価が上昇、リスク選好度が高まったことも原油相場を支えた。
これらを背景に買いが先行、54ドルを窺う動きとなった。ただし、米中通商交渉、英国のEU離脱問題と不安要因が山積みであり、米政府機関の閉鎖も依然不安要因として残る。そのため上値を買い進む動きは見られなかった。なお、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数は前週から10基増加した。これによる相場の影響は限られた。
原油情報 2019年1月25日
24日の原油相場は反発。米政府が制裁に伴いベネズエラからの原油輸入を制限するとの思惑が広がり、需給引き締まりへの警戒から買いが優勢となった。
トランプ米大統領は前日、ベネズエラの国会議長を暫定大統領として承認することを明らかにした。これに対し同国のマドゥロ大統領は反発、米国との断交を宣言した。両国の関係悪化が懸念されるなか、米政府はベネズエラ産原油の輸出に対して制裁を科す可能性を示唆した。ベネズエラは政情混乱や経済低迷により原油生産量が減少傾向にあり、米国が輸入制限ないしは全面禁輸措置をとると、対米輸出が大半を占める同国の原油供給は一段と混乱することが見込まれる。需給が引き締まる可能性もあるこの地政学的リスクを警戒した動きが強まり、原油相場は買いが優勢となった。
しかし、上値は限られた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は大幅な増加となった。ガソリンも予想以上に積み上がった。前日に米石油協会(API)が発表した統計でも同様に大幅増であったため、ネガティブサプライズとはならなかったが、さすがに増加幅が大きかったこともあり、上値を抑える要因となった。
原油情報 2019年1月24日
23日の原油相場は続落。ドル安などを手掛かりに序盤は買いが先行したが、株価が下げに転じたことや欧州連合(EU)によるイラン産原油の輸入増加観測が広がり、マイナスサイドに値を崩した。
米中貿易問題を軸に先行きの世界経済をめぐる不透明感が強く、米政府機関の長期閉鎖などもあり、市場参加者の多くは慎重姿勢を崩していないが、この日は英国の合意なしでのEU離脱の可能性が低下したこともありポンドが上昇、この影響もありドルは対主要通貨でやや下落する格好となった。リスク回避姿勢が幾分和らいだこともあって株価は上昇して始まった。好調な内容の企業決算にもサポートされた。ドル安、株高を受け、原油相場も買い優勢から値を上げた。
しかし、序盤の買いは限定的で上値は限られ、その後は株価が下げに転じると、歩調を合わせて原油も売り優勢の地合いへと変調した。やはり米中貿易摩擦や米政府機関閉鎖への懸念が強く、株価は上げたところは叩かれるといった状態。また、仏外相が、米国の対イラン制裁の適用を回避する形でイラン産原油を輸入できるシステムを構築する見込みであることが伝わり、対イラン制裁による供給タイトへの懸念が和らいだことも売りにつながった。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比660万バレル増と大幅な増加となった。ガソリンがディスティレート在庫も増えている。これを受けての時間外のマーケットの反応は限られている。米エネルギー情報局(EIA)の統計発表待ちの商状。
原油情報 2019年1月23日
22日の原油相場は反落。世界経済減速および米中貿易摩擦問題を背景にエネルギー需要の減退観測が広がり、売りが先行する展開となった。株安に伴うリスク選好意欲の後退も相場を圧迫した。
前日、中国国家統計局が発表したGDPに低成長が示されるなか、国際通貨基金(IMF)も今年と来年の世界経済成長率見通しを下方修正した。また、この日に発表された米住宅指標が弱気な内容となったこと、トランプ米政権が中国の提案する通商予備会議の週内開催を拒否したと伝わったこと、米政府機関の閉鎖が長期に亘っていることなど、先行き経済の見通しに不安感が強まっている。これらを受け、エネルギー需要にマイナスの影響が及ぶとの見方が広がり、市場のセンチメントは弱気に傾倒した。
株式市場も同様、世界景気の減速懸念から売りが先行、ダウ平均は一時400ドルを超える下落となる場面も。株安を受けた投資家心理の冷え込みはリスク資産の一角とされる原油相場にも波及、売りに拍車をかける格好となった。WTI期近2月限は54ドル半ばまで値を上げていたが、手仕舞い売りが膨らんで一時52.05ドルまで大きく下落した。ただ、売り一巡後は短期下落に対して買戻しも見られ、下げ幅を縮小して引けている。
原油情報 2019年1月22日
週明け21日の原油相場は、キング牧師生誕記念日に伴う祝日のため休場。
中国国家統計局がこの日に発表した2018年第4四半期(10-12月期)GDPは前年比6.4%増と、2009年第1四半期(1-3月期)以来の低い伸びとなった。これを受けての中国経済が減速するのではとの見方や、英国の欧州連合(EU)離脱問題、米政府機関の長期に亘る閉鎖など懸念材料が多く散見されている。これらが重石となってはいるが、中国が米国からの輸入拡大計画を提示したことで、米中貿易改善期待が依然として下支えとなっている。また、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国による協調減産、米国のリグ稼働数の減少などから需給改善への期待感もある。
電子取引は前日引け53.80ドルを挟んでの動きが続いたが、日本時間22日午前8時時点では54ドル台へレンジを切り上げて推移している。心理的な節目である55ドルが目先の上値目処。同水準を上抜くと、ロスカット絡みの踏み(買戻し)を巻き込み、短期的に上げ足速める可能性がある点には注意が必要。
(提供元:CREEX)