2019年6月25日~7月1日
原油情報 2019年7月1日
週末28日の原油相場は反落。堅調ムードのなか、WTI期近8月限は一時59.80ドルまで上昇する場面も見られた。しかし、米中首脳会談を控え神経質な動きとなり、節目の60ドルを前に持ち高調整の売りに押された。週末、月末、四半期末、上期末が重なったこともあり、手仕舞い売りが優勢に。
中東の地政学的リスクから原油供給に対する不安があるなか、米国の原油在庫が予想以上に減少し需給改善への期待が広がっている。また、週明けには石油輸出国機構(OPEC)らが協調減産継続について協議する見通しで、継続する方向でのコンセンサスで固まっている模様。そのため、需給バランスがブル寄りにシフトしていくとの見方が強く、市場のムードは強気に傾いている。ただし、29日に米中首脳会談が予定されており、その結果を見極めたいとして積極的な買いは手控えられた。
ここ数日レジスタンスとして意識されている60ドルを前に失速すると、持ち高調整絡みの売りに押された。週末や月末などのタイミングも重なった。直近の上昇に対する反動もあり、利食い売り圧力が強まった格好。また、午後に入り米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数が増えたことも相場の重石となった。
注目された米中首脳会談は、通商協議の再開、追加関税措置発動の見送りと、両国は一時休戦で合意した。最悪の事態は回避された格好で市場心理が大幅に改善する可能性が高い。週明けの市場のムード次第では60ドルを上抜く可能性も出てきた。
原油情報 2019年6月28日
27日の原油相場は小動き。米中首脳会談を控え、結果を見極めたいとして積極的な商いは手控えられた。様子見ムードが強まるなか、持ち高調整中心の動きとなった。
28-29日のG20に合わせて29日に米中首脳会談が予定されている。貿易戦争の暫定的な停戦で合意したと香港紙が伝えたことで、一時楽観ムードが強まる場面も見られた。しかし、貿易戦争の解決に向けて習近平国家主席がトランプ大統領に条件を提示すると米紙が伝えたことで、楽観ムードは後退した。また、米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長はこの日、通商協議にあたって前提条件は設定されていないとし、首脳会談後に対中関税を発動する可能性があると述べており、不透明感が再び強まる格好となった。
前日の米原油在庫の大幅減もあり、WTI期近8月限は一時59.73ドルまで上昇する場面もあった。節目の60ドルを上抜くと買いに弾みがついた可能性もあるが、前日高値59.93ドルを前に打たれたこともあり、様子見気分が強まった。週末、月末、四半期末を控えるなか、米中の通商協議に進展があるか否か、結果次第で一方向へのバイアスが強まりやすいだけに注意が必要な局面だろう。また、週明けには石油輸出国機構(OPEC)プラスの会合もあり、先読みが難しい局面に入っている。
原油情報 2019年6月27日
26日の原油相場は反発。米国の原油在庫が大幅に減少したことを好感した買いが集まった。WTI期近8月限は一時59.93ドルまで上昇し、期近ベースとしては5月下旬以来の高値を付けた。
前日引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫が市場予想を上回る減少となったことを受け、時間外取引から堅調に推移した。通常取引開始後、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計でも強い内容が示されたことで、買いの勢いに拍車がかかった。API統計の内容を上回る在庫取り崩しが示された。これで2週連続の予想外の減少。生産量が減少し、輸入量が大幅な減少となったことで、供給量が大きく減っている。一方、リファイナリーの稼働は上がり、輸出量が過去最高を記録するなど高水準となったため、在庫の取り崩しが進んだ格好。直近には2年ぶりの高水準へと在庫が積み上がっていたこともあり、需給緩和感から相場の重石となっていたが、この2週の在庫取り崩しが進んだことにより、需給の緩みへの警戒は和らぎつつある。また、WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫も減少、ガソリンやディスティレートなど石油製品在庫も前週同様に予想に反して減少したため、概ねブルな要因が示されている。これらを背景に買いが優勢となり、一時60ドルに迫る場面も見られた。
原油情報 2019年6月26日
25日の原油相場は小反落。中東不安から下値は堅いが、米中貿易交渉の行方に対する警戒感が上値を抑えた。
前日に米政権はイランへの追加制裁を発表、これに対してイランのロウハニ大統領は愚かな行為であると米国の制裁に反発姿勢を示した。両国の緊張関係が長引くのではとの見方から、中東産原油の供給減少への警戒感が引き続き下値を支えている。しかし、米中貿易交渉の妥結が容易ではないとの見方が圧迫要因となっている。米政府高官は前日、トランプ米大統領が現状に満足していると言及、妥結を急いでいない姿勢にあると伝わった。G20に合わせ29日に米中首脳会談が行われる予定だが、合意への道のりは険しいとみる向きが多い。世界経済の減速を招きかねないとして、原油売りが誘われた。また、直近に大きく値を上げていることもあり、高値警戒から調整の売りも上値を抑えたとみられる。米国とイランの緊張への警戒があるなか、米中貿易交渉の行方に対する不安感がある。28-29日のG20、29日には米中首脳会談があり、本日25日には米国の在庫統計の発表と主要イベントが相次ぐため、積極的な商いは手控えられて持ち高調整中心の動きにとどまった。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比750万バレル減と事前予想(250万バレル減)を上回る減少となった。これを受け、時間外取引は堅調に推移している。
原油情報 2019年6月25日
週明け24日の原油相場は続伸。トランプ米政権がイランに対して追加制裁を決めたことを受け、両国間の軍事的緊張の高まりから買いが優勢となった。
直近の上昇に対する反動もあり、利食い売りに押される場面も見られたが、中東不安が下支えとなり堅調地合いを維持している。トランプ米大統領はこの日、イランの最高指導者ハメネイ師らを制裁対象に指定、米国の金融システムを通じた取引禁止などの制裁を科す大統領令に署名した。ザリフ外相にも近々に制裁を科す方針。先日の無人偵察機撃墜やタンカー攻撃に対して責任を問う姿勢を示した格好。これを受けて米国とイランとの軍事衝突への警戒が強まり、中東の原油輸送への混乱も警戒された。
また、石油輸出国機構(OPEC)らによる協調減産が継続するとの見方も相場を支えている。OPEC加盟国と非加盟国からなるOPECプラスは7月1日および2日に会合を開催することで合意しており、1日に共同閣僚監視委員会、OPEC定例総会、2日に非加盟国を含むOPECプラスの会合を開く。減産継続を望むサウジアラビアやUAEらに対して米国にシェアを奪われることを嫌うロシアと足並みが揃っていなかったが、開催時期等が確定したことなどからOPECプラスが一丸となるとの見方が広がり、減産継続への期待感が強まっている。
(提供元:CREEX)