2019年6月18日~6月24日
原油情報 2019年6月24日
週末21日の原油相場は続伸。米国とイランの軍事的緊張の高まりが警戒され、買い優勢の展開となった。WTI期近8月限は一時57.98ドルまで上昇し、期近ベースとしては5月30日以来の高値を付けた。
引き続き中東の地政学的リスクが警戒されている。
イランが米国の無人偵察機を撃墜したことに対し、米国はイランへの報復攻撃を計画したことが明らかとなった。空爆計画実施のわずか10分前に攻撃を撤回したという。イラン側も、オマーンを通じて米国から空爆の警告を受け取っていたことを明らかにした。軍事的衝突は回避された格好だが、事態悪化の可能性が燻っており、原油輸送が滞ることへの懸念が残っている。予断を許さない状況にあることに変わりはなく、引き続き中東不安を手掛かりとした買いが続いた。
また、この日は米国の製油所で火災が発生したとの報もあり、これも相場を支援した。ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるフィラデルフィア・エナジー・ソリューションズ・リファイニング・コンプレックスで同日、大規模火災が発生した。ガスタンクから出火した模様で、原因はまだ判明していない。同製油所の原油処理能力は日量33.5万バレルと大きい。ドライブシーズンであること、ガソリンの消費地であること、これらを受けてRBOB相場が上昇し、原油も連れ高した格好。このほか石油輸出国機構(OPEC)らの協調減産継続観測もサポート要因となり、この日から当限(1番限)に回った8月限は買いが先行、値位置を切り上げた。
原油情報 2019年6月21日
20日の原油相場は急反発。中東の軍事的な緊張の高まりやドル安、株高を受けて買いが膨らんだ。この日納会を迎えたWTI期近7月限は一時57.02ドルまで上昇し、前月下旬来来の高値を付けた。
イラン革命防衛隊はこの日、イラン領空を侵犯したとして米国の無人偵察機を撃ち落としたことを明らかにした。これに対してトランプ米大統領は、イランは非常に大きな過ちを犯したと表明、両国の軍事衝突の恐れが一層高まった。撃墜したのは南部ホルモズガーン州の沖合で、石油輸送路の要衝であるホルムズ海峡付近であることもあり、緊張感が急速に高まった格好。これを手掛かりに買いが先行した。
また、ドル安や株高も支援材料となった。米連邦準備理事会(FRB)が年内利下げの可能性を示唆したことが好感され、ドルが売られ、株は買われる動きとなった。ドル安を受け、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が増したほか、株高を受けて市場心理が改善、リスク選好ムードがリスク資産の一角とされる原油の上昇を後押しした。
これらに加え、この日は納会日であったこともあり、持ち高調整絡みの動きも相場上昇をサポートしたうえ、直近レンジ上限の55ドルを上抜いたことにより、テクニカル的な買い注文も促されたとみられ、上げ幅を拡大する動きとなった。
原油情報 2019年6月20日
19日の原油相場は小反落。買いが先行したが、前日の上昇もあり利益確定の売りに押された。
米中貿易摩擦への懸念が後退したことで上昇した流れを継続、この日も確りとした地合いのなか始まった。通常取引開始後、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫が事前予想を上回る減少となったことが判明し、これを好感した買いが相場をさらに押し上げた。ガソリンやディスティレート在庫も予想外の減少となったほか、ガソリン需要は週次統計開始来の最高水準を記録したこともあり、需給改善への期待が高まった。これらを受けて買いが先行し、WTI期近7月限は一時54.42ドルまで上昇する場面も見られた。
ただし、買い一巡後は利食い売りに押される展開に。前日と合わせて上げ幅が大きかったこともあり、その反動から利益確定の動きが強まった。また、7月限が納会を控えていることや、米連邦公開市場員会(FOMC)の結果を見極めたいとする動きもあり、持ち高調整が進んだ格好。序盤の上げ幅を削り、前日とほぼ同値付近で取引を終えた。なお、引け後の時間外取引では上値を切り上げる展開にあり、54ドル台後半へと値を上げている。節目の55ドルを上抜くと、アク抜けから楽観ムードが広がり、短期的に上げ足速める可能性があるため注意したい。
原油情報 2019年6月19日
18日の原油相場は反発。米中貿易交渉の妥結期待から投資家心理が改善、買いが先行する展開となった。米国の利下げ観測もあり、株価上昇を受けてリスク選好度が増したことも相場を押し上げた。
トランプ米大統領はこの日、中国の習近平国家主席と電話会談を行い、来週のG20で会談することを明らかにした。これに先立って事前協議が始まるという。首脳会談が実現すればこれまでの両国の貿易摩擦が和らぐとの見方が広がり、世界経済失速への警戒感が大きく後退した。これを受け原油需要が伸び悩むとの見方が薄れ、原油相場は押し上げられた。
通商問題への懸念緩和からリスク選好度が増し、さらに年内の利下げ観測への期待も相俟って株式市場は大幅な上昇に。株高を受けリスクオンへのムードに拍車がかかり、リスク資産の一角とされる原油も大きく買い戻される格好となった。中東の地政学的リスクを警戒した動きもあり、WTI期近7月限は一時54.31ドルまで上昇する場面も見られた。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週から81.2万バレル減少した。事前予想は110万バレル減。予想ほどは減少しなかったが堅調地合いを維持しており、時間外取引では54ドル水準で推移している。
原油情報 2019年6月18日
週明け17日の原油相場は反落。中国の景気減速懸念から売りが優勢となった。ただし、中東の地政学的リスクや石油輸出国機構(OPEC)らによる協調減産継続観測などが下値を支え、下げ幅は限られた。
中国国家統計局が前週末に発表した5月の鉱工業生産を受け、売りが先行する展開となった。同指標は前年同月比5.0%増と前月から伸びが鈍化、伸びとしては約17年ぶりの低い水準。米中貿易問題を背景に中国景気が減速しているとの懸念が広がり、エネルギー需要の先細りが警戒された。
売り先行から値を下げたが、この日の安値は51.58ドルと下値は堅かった。ホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃による地政学的要因が燻っているほか、OPEC加盟国および非加盟国による協調減産が現時点で期限とされる6月末以降も継続するとの見方などが下値を支えた。また、米連邦公開市場員会(FOMC)を控えていることから外為市場や株式市場では積極的な商いが手控えられ、様子見から小幅な値動きにとどまったため、原油相場も持ち高調整中心の動きで下値を売り込む動きは見られなかった。
(提供元:CREEX)