2019年6月11日~6月17日
原油情報 2019年6月17日
週末14日の原油相場は続伸。中東の地政学的リスクを背景に買いが優勢となった。ただし、ドル高や世界需要見通しの下方修正などが圧迫要因となり、上げ幅は限られた。
前日、ホルムズ海峡近くのオマーン湾で日本などの船舶を含む2隻のタンカーが攻撃を受けた。この攻撃に関して米政府はイランの関与を指摘、強く非難している。米国が5月にイラン産原油の禁輸措置を強化して以来、数隻のタンカーが攻撃を受けており、両国の緊張が高まっている。軍事衝突に発展する可能性があるため、中東情勢の緊迫を警戒した買いが続いた。
しかし、米国の小売関係の底堅い経済指標を受け、外為市場ではドルが上昇したため、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下した。また、米エネルギー情報局(EIA)、石油輸出国機構(OPEC)に続き、この日に国際エネルギー機関(IEA)が公表した月報で、世界石油需要見通しが従来見通しから下方修正されたことも上値を抑えた。地政学的リスクが後退すれば、再び需給の緩みが警戒されるだろうとする冷静な見方も強くあり、上げ幅は限られた格好。
原油情報 2019年6月14日
13日の原油相場は反発。中東の地政学的な緊張を背景とした買いが入り、切り返す展開となった。WTI期近7月限は一時53.45ドルまで持ち直す場面も見られた。
原油輸送の要衝であるイラン沖合のホルムズ海峡付近で石油タンカーが攻撃された。オマーン湾で13日、日本と台湾のタンカー2隻が攻撃を受け、2隻とも火災が発生した。うち日本のタンカーは砲弾を受けたという。なお、5月にもタンカー4隻が攻撃を受けている。このような攻撃の頻度が高まることで、原油輸送が停滞することが懸念された。また、イランはこれまでホルムズ海峡の原油輸送を阻害することを示唆していたこともあり、米政府はこの件に関し、イランに責任があるとの判断を明らかにした。米国とイランの軍事的緊張の高まりにより、中東の地政学的リスクが一段と高まるとの警戒も原油買いを誘った。
ただ、これらの反応は一時的で、買い一巡後はやや上値重い商状に。米中貿易問題が依然意識されているうえ、この日は石油輸出国機構(OPEC)が公表した月報で、世界石油需要見通しが下方修正されたことも影響している。この日の高値からは1ドル超の上げ幅を削って取引を終えている。
原油情報 2019年6月13日
12日の原油相場は反落。米国の原油在庫の積み増しが続いていることで、需給緩和感からの売りに押された。ドル高や株安も圧迫要因。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は減少予想に反して増加した。前週に続いて予想外の増加となり、約2年ぶりの高い水準へと積み上がっている。前日の短期エネルギー見通しのなかで、需要見通しが下方修正されたこともあり、米国内の原油供給の過剰感が増すとの見方が広がった。これを手掛かりに売りが先行する展開となった。
午後に入り、ドル高や株価下落を受けて売りに拍車がかかった。利下げ観測からドル安基調にあるが、来週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えるなか、持ち高調整の動きが強まった。ドル高を受けてドル建てで取引される原油の投資妙味が低下、株安を受けてリスク回避ムードが強まり、リスク資産の一角とされる原油にも売りが入った格好。このほか、米中通商問題への根深い懸念もあり、弱気ムードが広がって売りが膨らんだ。WTI期近7月限は一時50.72ドルまで軟化する場面も見られた。
原油情報 2019年6月12日
11日の原油相場は小幅高。直近の上昇を受け、上げ一服感からほぼ横ばい商状となった。ブルベア見方が分かれ、決め手を欠く展開。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の協調減産の継続有無に関しては、見方が分かれるところ。サウジアラビア石油相は今年下期も減産を続けることを確信していると述べている。一方、ロシアは慎重姿勢で、まだ方針を決定していないのはロシアだけだという。減産を継続するとなれば需給均衡への期待が高まるが、打ち切りともなれば供給過剰感が意識されやすく、不透明な状況にある。
米国の需給見通しも強弱材料まちまち。米エネルギー情報局(EIA)が発表した6月の短期エネルギー見通しのなかで、世界石油需要見通しは下方修正された。米中貿易摩擦の激化が悪影響を与える可能性がある。しかし、供給見通しも下方修正されている。米国の産油量見通しの下方修正が影響。どちらともとれる内容が示されたことで、これを手掛かりには動き難い状況となった。
強弱材料が交錯したため方向感を欠いた動きとなった。最終的には小幅高で引けてはいるが、時間外取引で値を上げていたため、プラス圏で引けたに過ぎず、米中貿易摩擦激化への懸念は根強くあり、上値の重い印象を受ける。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比490万バレル増と事前予想(50万バレル減)に反して増加した。これを受け、時間外取引では売り優勢となっている。
原油情報 2019年6月11日
週明け10日の原油相場は反落。米中問題や需給緩和観測を背景に売りが優勢となった。3営業日ぶりの下落。
米中貿易戦争の長期化への警戒が強まった。トランプ米大統領は前週末、対メキシコ関税の発動を見送ったことで、景気悪化への懸念が幾分和らいだが、対中の通商問題には不透明感が強く残っている。同大統領はこの日、中国との通商協議が合意に至らなかった際には、G20サミット後に追加の報復関税を発動する用意があると言及した。米利下げ観測が強まっていることもあり、市場の反応は限られたが、世界的なリセッションにより原油需要が減退するとの不安感があるため、原油相場にとっては上値抑制要因となった。
また、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国による協調減産が7月以降も継続することへの懐疑的な見方も圧迫要因となった。市場均衡、油価下落回避のためにも、今月末の総会では減産継続が協議される可能性が高く、サウジアラビアは継続を支持する方針を示している。これに対してロシアは次回総会での協調減産決定に慎重姿勢を示しており、減産継続の有無について不透明感が広がった。これに加え、WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫が増加したとの報もあり、需給の緩んだ状態が続くとの見方に上値を抑えられた。
(提供元:CREEX)