2019年9月10日~9月17日
原油情報 2019年9月17日
週末13日の原油相場は続落。石油輸出国機構(OPEC)らが減産幅拡大を見送ったことが引き続き売り材料視された。4営業日続落。OPECプラスは前日の会合で、協調減産の拡大を見送った。また、OPECのほか米エネルギー情報局(EIA)、国際エネルギー機関(IEA)がそれぞれ弱気な見通しを示していることもあり、先行きの需給緩和への見方が売りにつながった。ただし、米中貿易交渉の進展期待や連日の下落、週末前ということもあり、幾分買い戻されて下げ幅を縮小して取引を終えた。
週明け16日の原油相場は急反発。イエメン武装勢力シーア派によるサウジアラビアの石油施設への攻撃を受け、需給逼迫および中東の地政学的リスクが意識された買いが膨らんだ。WTI期近10月限は一時63.38ドルまで上昇、ブレントは70ドル超えまで急騰した。サウジアラビア国営石油サウジアラムコのアブカイク、クライスにある2施設がドローンによる攻撃を受け火災が発生、シーア派が犯行声明を出した。これにより日量570万バレルの原油生産量が減ることになり、需給が引き締まることへの警戒が強まった。これは世界供給量の5%ほどに相当する。またイランの後ろ盾を得ているとされるシーア派が、親米国サウジアラビアへ攻撃をしたことで、次回国連総会での米国とイランのトップ会談の可能性が著しく低下、中東の緊張が続くことへの警戒が強まった。その後、米政府はイランの関与を疑い、トランプ米大統領は「臨戦態勢が出来ている」と言及、これに対してイラン外務省は「トップ会談はない」と明言、両国の緊張が高まる結果に。取引再開後は急騰して高寄りすると、その後も値を伸ばす格好となった。週明けには1/3程度の生産回復となる見通し、また備蓄放出などもあり、目先の需給が急速にタイト化する可能性は低いが、米国とイランの関係悪化には警戒が必要。
原油情報 2019年9月13日
12日の原油相場は続落。先行きの供給増加観測を背景に売りが先行する展開となった。WTI期近10月限は一時54ドルちょうどまで売り込まれ、4日以来の安値を付けた。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国はこの日、アブダビで閣僚級会合を開き、来年3月で終了となる現行の減産幅(日量120万バレル)について協議を行った。6月の会合では、協調減産の効果を見極めるためにもあと2ヶ月は必要と判断を見送っていた。一段の協調減産が必要かなどを議論したが、シェア低下を懸念するロシアは減産拡大に慎重姿勢を示したほか、米国によるイランへの制裁が緩和する可能性もあるため、12月の会合で協議すると決定は先送りとなった。減産強化の結果が出なかったことを市場は悲観、需給不均衡への警戒から売りに押される展開となった。
また、国際エネルギー機関(IEA)がこの日に公表した月例報告のなかで、米国を中心とするOPEC非加盟国の来年の産油量が、今年のそれを大きく上回る見通しを示したこともあり、先行きの供給過剰への警戒が強まった格好。これらを手掛かりに一時54ドルまで下落した。ただし、ドルが対ユーロで下落したことや、株式市場が上昇したこともあり、終盤は下げ幅を縮小して取引を終えた。
原油情報 2019年9月12日
11日の原油相場は大幅続落。米国の対イラン制裁緩和見通しを背景に売りが膨らんだ。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は予想を上回る取り崩しが続いていることが確認された。これを受けて原油相場はプラス圏を維持していたが、その後は需給の緩みへの警戒が強まり、マイナスサイドに値を崩すと、急速に下げ足を速めた。
トランプ米大統領がイランへの制裁緩和を検討しているとブルームバーグが伝えたことが、弱含みの展開に拍車をかけた背景。今月下旬の国連総会で、イランのロウハニ大統領との会談を実現すべく、制裁緩和の可能性について議論した模様。トランプ米大統領は前日、対イラン強硬派のボルトン大統領補佐官の更迭を発表している。両国の対立が和らぐと、イラン産原油の生産および輸出が回復し、世界的な需給緩和へとつながるとの連想が売りを誘った。石油輸出国機構(OPEC)がこの日に発表した月報で、世界石油需要見通しが下方修正され、OPECの8月の産油量が増えていただけに、先行きの需給の緩みへの意識が一段と強まったとみられる。手仕舞い売り先行から値位置を切り下げ、WTI期近10月限はほぼ安値圏で取引を終えた。
なお、時間外取引で米株式市場が値を上げていることから、原油相場も時間外で値を戻す展開となっている。
原油情報 2019年9月11日
10日の原油相場は反落。ボルトン米大統領補佐官の更迭、先行きの需給緩和見通しを背景に売りが優勢となった。
前日の堅調地合いを引き継ぎ、WTI期近10月限は一時58.76ドルまで上昇し、約1ヶ月ぶりの高値を付ける場面も見られた。しかし、対イラン強硬派のボルトン米大統領補佐官の解任が伝わり、中東の地政学的リスクへの警戒感が和らいだ。トランプ米大統領はツイッターで、ボルトン氏の多くの提案について意見が異なったと指摘、これまでイランなどをめぐって両者の意見対立が表面化していた。ポンペオ国務長官はこの日、今月開催の国連総会にて同大統領とイランのロウハニ大統領が会談する可能性を示唆しており、米国がイランとの対話を進めるのではとの見方が広がった格好。
また、需給緩和見通しも相場の重石に。米エネルギー情報局(EIA)が発表した9月の短期エネルギー見通しのなかで、原油価格見通しを従来予想から引き下げた。需要見通しを下方修正する一方、供給見通しを今年分は上方修正しており、概ね弱気な見通しが示された。これらを背景に売り優勢となると、直近の上昇に対する反動から利益確定の売りが強まり、上げ幅縮小からマイナスサイドへと転じる動きとなった。
原油情報 2019年9月10日
週明け9日の原油相場は続伸。需給改善への期待感から買いが先行した。WTI期近10月限は一時58.16ドルまで上昇し、期近ベースとしては7月31日以来の高値を付けた。4営業日続伸。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟国による協調減産が継続するとの期待が広がった。就任したばかりのサウジアラビアのサルマン新エネルギー産業鉱物資源相はこの日、原油価格の下支えのために自国の原油生産を抑制する政策を続けることを示唆、またロシアなど非加盟国との協調減産も続くとの見方を示した。これを受けて減産が長期化するとの見方が強まり、需給改善への期待から買いが集まった。なお、サウジアラビアのサルマン国王は7日、ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相を解任、後任に息子のアブドルアジズ・ビン・サルマン王子を任命している。ファリハ氏はサウジアラムコの会長職を解かれたばかり。
また、外為市場でドルが対ユーロで下落したことも支援材料。独政府が財政刺激策拡大への期待からユーロが買われた。ドルが下落したことで、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が高まり、買いが促された格好。これらを背景に買いが先行、一時58.16ドルまで上昇、利食い売りは出たものの高値水準で取引を終えた。
なお、時間外取引では再び堅調地合いへと回帰し、さらに高値を更新している。
(提供元:CREEX)