2019年8月27日~9月2日
原油情報 2019年9月2日
週末30日の原油相場は反落。石油輸出国機構(OPEC)の生産量が増えたとの報やドル高を背景に売りが先行した。レイバーデーに伴う連休を控えていることもあり、直近の上昇に対する反動から持ち高調整絡みの手仕舞い売りにも押された。
ロイターがこの日伝えた統計によると、8月のOPEC産油量は日量2961万バレルと前月から同8万バレル増加した。OPEC加盟国・非加盟国からなる共同閣僚監視委員会(JMMC)が直近に公表した数値では、7月の減産順守率は159%と高いものになったことが明らかとなっており、減産強化への期待が強まっていただけに、わずかながらも増加したことは市場心理を冷やした。
また、外為市場でドルが対ユーロで上昇したことも売りを誘った。ユーロ圏の経済指標が冴えないことや月末要因などからドルが上昇、ドル建てで取引される原油に割高感が意識された格好。このほか米国市場が連休入りすること、新たな対中制裁関税の発動が迫っていることもあり、直近の上昇に対しての反動から一旦買い持ちを解消する動きもあった。なお、ハリケーン「ドリアン」がフロリダ半島東部に上陸する見通しで、その後に米メキシコ湾内へと進む可能性があるが、市場の反応は限定的。
原油情報 2019年8月30日
29日の原油相場は続伸。エスカレートしている米中貿易戦争に歯止めがかかるとの観測や、米国の原油在庫の減少などを手掛かりとした買いが続いた。
米中が来月にも通商協議を再開することを検討していると伝わり、貿易戦争激化による景気減速への見方が後退した。リスク選好度が回復し、安全資産からリスク資産への資金シフトにより、リスク資産の一角とされる原油相場にも買いが集まった。また、前日発表の週間石油統計で、原油在庫が予想以上の大幅な減少となったことが引き続き好感されたほか、大西洋上で発達しているハリケーン「ドリアン」が、今後フロリダ半島東部に上陸する見通しにあり、米国内の石油需給への影響が懸念されたことも相場を支えた。米株式市場が上昇したことも支援材料。これらを手掛かりに、WTI期近10月限は一時56.89ドルまで上昇、前日高値をわずかながらも上抜いている。
買い先行から値を伸ばしたが、不安感も残る。中国商務省は貿易戦争激化に反対、問題解決に前向きな姿勢を示したが、米国に対して良好な環境を整えることが重要であるとしており、発表に重みを欠いている。また、米中通商問題のほかに英国の欧州連合(EU)離脱などもあり、先行き景気に対する不透明感は依然根強くある。また、ハリケーンがフロリダ半島に上陸する見通しとはなっているが、石油関連施設が集中する地域ではなく、かつドライブシーズンも今週末の連休で終了するため、市場への影響は限られる公算が大きい。8月に入ってからは57ドル台で打たれていることもあって、値ごろ感からも警戒が強い。
原油情報 2019年8月29日
28日の原油相場は続伸。米国の原油在庫が予想を大幅に上回る減少となったことを好感し、買いが先行する展開となった。
前日夕に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比1110万バレル減と事前予想の210万バレルを大幅に上回る取り崩しとなった。これを受けて時間外取引では買いが優勢となり、小確りとした動きとなるなか、通常取引開始後に米エネルギー情報局(EIA)が発表した統計でも原油在庫は同1000万バレル減と予想以上の大幅減となったことが判明し、米国の原油需給の緩みが和らぐとの見方が広がった。原油生産量は過去最高を記録したが、輸入量が今年2番目に低い水準へと落ち込み、在庫取り崩しが進んだ格好。また、WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫も8週連続で減少、ガソリン在庫は予想以上の減少、ディスティレート在庫は予想外の減少と概ね強気の内容が示された。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国・非加盟国の7月の減産順守率が高かったとの前日の報もあり、世界的に原油需給の緩和感が後退するとの期待感が相場を押し上げた。このほか米株式市場が反発したことも心理的な支援材料となり、WTI期近10月限は一時56.75ドルと1週間ぶりの高値を示現する場面も見られた。
原油情報 2019年8月28日
27日の原油相場は反発。米中貿易摩擦の激化への警戒が和らいだことや石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国による減産強化、米国の原油在庫の減少予想などを手掛かりに買いが先行した。
米中貿易摩擦をめぐる過度な警戒感が後退している。トランプ米大統領は前日、中国から協議再開の申し入れがあったことを明らかにした。さらに中国が合意を望んでいると言及、通商協議を再開する方針を示した。これを受けて米中貿易摩擦の激化による世界的な景気減速への過度な懸念が和らぎ、エネルギー需要の減退観測も同時後退した。
OPECらによる協調減産が強化されていることも好感された。共同閣僚監視委員会(JMMC)はこの日、7月の減産順守率が前月比22pt上昇の159%と高い順守率になったことを明らかにした。また、今後についても減産強化を示唆、今年後半には世界の原油在庫水準が大きく引き下げられるとの見通しも示している。これに加え、米国の原油在庫が減少するとの予想も支援材料。ロイター調べの事前予想では210万バレルの減少が見込まれている。これらを受けて需給緩和感が後退するとの見方が広がった。
買い先行からWTI期近10月限は一時55.72ドルまで上昇する場面も見られた。高値からは上げ幅を縮小して引けたが、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫が前週比1110万バレルの大幅減となったことを受け、時間外取引では再び堅調。しかし、直近の揉み合いの域を脱するには至っていない。米国の長短金利逆転が進んでおり、安全資産への資金シフトの流れが散見されている。先行き景気に対する不安感の表れであり、引き続き予断を許さない状況。
原油情報 2019年8月27日
週明け26日の原油相場は続落。米中貿易摩擦の解消期待が高まったが、米国とイランの緊張が緩和するとの見方が上値を抑えた。
米中貿易戦争を巡る過度の懸念が和らいだ。前週、両国の報復関税措置合戦が繰り広げられ、リスク回避の動きが強まったが、週明けは一転してリスク選好度が高まった。トランプ米大統領はこの日、中国が協議を求めてきたことを明らかに。また、通商協議を再開する構えを表明したことで協議実現への期待が高まり、株式市場は寄り付きから大幅に持ち直す動きとなった。前週とは真逆の安全資産からリスク資産への資金シフトが起こり、原油相場も午前中は買いが優勢となった。
しかし、米国とイランとの緊張緩和への期待が圧迫要因に。G7サミット終了後、同大統領はマクロン仏大統領との共同記者会見で、米国とイランの首脳会談の実現可能性について言及、対立関係にあるイランのロウハニ大統領との会談に前向きな姿勢を示した。現在米国はイランに対して原油の全面禁輸の制裁を科しており、イランの原油生産量、輸出量は制限された状態が続いている。両国の関係改善が進むようだと、イラン産原油の輸出量が回復し、世界的な需給緩和につながるとの見方から売りが集まった。すると序盤の上げ幅を縮小、手仕舞い売りが促されてマイナスサイドへと転落した。
なお、投資家の先湯に対する不安感を示す恐怖指数(VIX指数)が再び高まっている。危険水域とされる20に迫る水準にまで上昇しており、ボラティリティ(振れ幅)の高く乱高下する可能性がある。米中協議への進展期待は高まっているが、投資家心理が大きく改善するには至っていないため注意が必要したい。
(提供元:CREEX)