原油情報

2019年8月20日~8月26日

原油情報 2019年8月26日

週末23日の原油相場は続落。米中の関税報復合戦により世界的な景気後退観測が強まり、エネルギー需要の減退を見込んだ売りに押された。投資家心理の冷え込みから株価が急落、リスク回避の動きは原油相場にも及んだ。

中国政府はこの日、9月から発動する米国の対中制裁関税第4弾への報復として、米国製品に新たに追加関税を課すことを明らかにした。米国から輸入する750億ドル相当の製品に5-10%の追加関税を課す。これに対してトランプ米大統領はツイッターで、中国を批判、対応を講じることに言及した。両国の報復合戦が一向に収束する兆しは見えず、泥沼化していることが危惧され、世界的なリセッションへの警戒が強まった。景気減速によりエネルギー需要が減退するとの見方から原油は売りが先行した。また、米中貿易摩擦の激化への懸念からリスク回避ムードが加速、株式市場が大幅に下落し、この影響は原油相場にも及んだ。

ただし、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がこの日の講演で、景気拡大維持へ適切に行動すると述べたことで、追加利下げの示唆とハト派発言と判断する向きが多く、ドルが売られる展開となり、ドル建てで取引される原油相場の下支えとなった。このほかリグ稼働数が大幅に減少したこともあり、下値からは値を戻して引けた。

原油情報 2019年8月23日

22日の原油相場は続落。欧州景気の改善への期待やドル安を受けて買いが先行する場面も見られたが、米中貿易摩擦の悪化への懸念を背景に売り優勢となった。

この日発表された独仏の8月のPMIが予想外の上昇となった。これを受けて米中貿易摩擦に端を発する世界的な景気悪化への過度な懸念が後退した。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を翌日に控えるなか、先の米連邦公開市場員会(FOMC)議事要旨を受け、同議長がハト派的な発言をするとの期待が高まった。FRBの緩和スタンス維持への期待からドルは下落。ドル建てで取引される原油に対して割安感が意識された格好。中東の地政学的要因も燻っていることから原油相場は一時買いが先行、WTI期近9月限は56ドル台半ばまで持ち直す場面も見られた。

しかし、買いは続かず。カンザスシティおよびフィラデルフィア地区連銀総裁が追加利下げの必要性がないことを明らかにしたため、パウエル議長の利下げ発言期待も後退した。ユーロ/ドル、株式市場は前日とほぼ同水準に収まり、原油も連れた動きとなって序盤の上げ幅を削った。下げに転じたことで市場のムードは弱気に傾倒すると、前日の米ガソリン在庫の積み増しや世界的なリセッションへの警戒などから売り圧力が増し、マイナスサイドに値を沈めるに至っている。

原油情報 2019年8月22日

21日の原油相場は反落。中東の地政学的リスクや株高を背景に序盤は買いが先行したが、米国の石油製品在庫の増加やドル高が重石となりマイナスサイドに転落した。4営業日ぶりの下落。

中東の緊張から買いが先行。イエメンの反政府武装勢力フーシ派はこの日、前日夜に米軍の無人機を撃墜したことを明らかにした。また、イランのロウハニ大統領はこの日、イランの石油輸出が完全に制限されれば、国際水路が従来と同様の安全性を維持できなくなると述べた。これらを受け、米国とイランの対立がさらに深まることへの警戒が強まった。

株高も支援材料に。米連邦準備理事会(FRB)が公表した7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、FOMCにおいて大幅な利下げが討議されたことが明らかとなり、これを好感して投資家心理が改善、株式市場は値を上げた。リスク選好度が増したことで、原油相場も連れて買いが入った格好。これらを背景にWTI期近9月限は一時57.13ドルまで上昇した。しかし、その後は売り優勢の地合いへと転じた。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は予想以上の取り崩しとなったが、ガソリンおよびディスティレート在庫が予想以上の増加に。ドライブシーズンにもかかわらずガソリン需要が伸びていないとの見方が広がり、これが売りを促した。また、外為市場でドルが対ユーロで上昇したことで、ドル建てで取引される原油に対して割高感が意識されたことも相場の重石となった。期近中心に値を崩したことからも、直近に値を上げていた反動から一旦利益を確定する動きが強まったことが窺える。序盤の上げ幅を削り、マイナス圏へと値を沈めた。

原油情報 2019年8月21日

20日の原油相場は小幅続伸。中東の地政学的要因を背景に買いが続いた。ドル安も支援材料。3営業日続伸。

米国と対立するイランが支援するイエメン武装勢力フーシが、米国と友好関係にあるサウジアラビアの油田を攻撃したことで、中東の緊張が高まっている。このような状況下、英領ジブラルタル当局が拿捕後に開放したイランの石油タンカーが18日にジブラルタル沖を出航、ギリシャに向かって航行している。これに対して米政府は19日、タンカー解放に遺憾の意を表明、さらにギリシャ政府に対し、タンカーに便宜を図るようなことがあれば米国が指定する外国テロ組織への支援とみなすと強硬な姿勢を示した。これに対しイランは、米国がタンカー拿捕を試みるならば重大な結果を招くと強く警告している。緊張がエスカレートしていることを受け、中東の石油輸送に支障を来すのではとの見方が広がった。

また、ドル安も相場を支えた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演でハト派寄りの発言をするとの期待が広がったことで、ドルは対ユーロで下落する格好に。これを受け、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が増した。これらを手掛かりに買いが優勢となったが、引き続き米中貿易問題を巡る不安や株価下落が重石となり、上げ幅は小幅にとどまった。

なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計によると、原油在庫は前週比350万バレルの減少となった。事前予想は190万バレル減。これに対する市場の反応は特段見られず。

原油情報 2019年8月20日

週明け19日の原油相場は続伸。地政学的リスクの高まりを受けて買いが先行した。世界的な景気悪化への過度な懸念が後退したことも支援材料となった。

イエメンの武装勢力フーシ派は17日、対立するサウジアラビアのシャイバ油田をドローン10機で攻撃したことを明らかにした。サウジアラビア側によると、ガス処理施設で火災は発生したが被害は限定的であると強調した。しかし、シーア派の長距離攻撃が可能であることが示された格好で、米国と友好関係にあるサウジアラビアと、米国と対立するイランが支援するシーア派との関係が一段と悪化することへの警戒が強まった。中東を巡る地政学的リスクの高まりは避けられず、市場はこの緊張を警戒して買いに反応した。なお、同国東部に位置する同油田は日量100万バレルほどの産油量がある。

このほか中国人民銀行が17日に金利制度改革を公表、独財務相は18日に最大500億ユーロの追加財政支出が可能であることを示唆、これらを受けて世界的な景気減速への過度な懸念が和らいだ。投資家心理の冷え込みに歯止めがかかり、リスク資産に資金が再流入したことも原油相場を押し上げる一因となった。

(提供元:CREEX

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