2019年7月9日~7月15日
原油情報 2019年7月15日
週末12日の原油相場は方向感を欠く展開。熱帯暴風雨への警戒から買いが先行したが、直近の上昇に対する反動から利食い売りに押され、方向性の乏しい展開となった。
熱帯暴風雨「バリー」が勢力を強め、翌13日にもルイジアナ州のメキシコ湾岸に上陸する見通し。沖合の油田の生産量は大きく減少、供給減少への懸念から買いが先行した。また、米国の利下げ観測を背景に株価が上昇、外為市場ではドルが売られ、リスク選好ムードも下値を支えた。しかし、週末を控えるなか、約1ヶ月半ぶりの高値を付けた後ということもあり、利益確定の売りに押された。国際エネルギー機関(IEA)の供給過剰が続くとの見通しも上値抑制要因。これらを受け上げ幅を縮小、前日とほぼ同値圏で取引を終えた。
週明け15日の原油相場は反落。ハリケーンリスクの後退や中国の先行き景気に対する懸念から売り物に押された。
ハリケーン「バリー」がルイジアナ州に上陸したが、その影響が軽微であるとの見方が広がった。沖合の生産量は減少していたが、早々に一部施設は操業を再開しており、原油需給への影響は限られる可能性が出てきたため、これまで警戒して買われてきた反動から売りが出た格好。また、この日発表された中国の第2四半期(4-6月期)GDPが鈍化したこともあり、中国の原油需要が伸び悩むとの見方も売りにつながった。直近に上昇していたこともあり、一時的に利食い売りが強まった。
原油情報 2019年7月12日
11日の原油相場は反落。中東の地政学的リスクや米メキシコ湾岸の天候要因、株価上昇などを手掛かりに買いが先行、WTI期近8月限は一時60.94ドルとほぼ1ヶ月半ぶりの高値を付けた。しかし、直近の上昇に対する反動から売り物に押され、6営業日ぶりに反落した。
序盤は買いが先行した。イラン情勢をめぐる懸念が燻り続けるなか、前日の在庫統計で米原油在庫が大幅減になったことに加え、熱帯暴風雨「バリー」が勢力を強めてルイジアナ州の沿岸に向かっていることで、米国の需給緩和感が後退するとの見方が強まった。エクソンモービルなど石油大手各社は従業員を避難させ、沖合の原油生産を縮小させている。これにより米国の産油力が抑制され、需給改善につながるとの見方から買いが優勢となった。また、利下げ期待から株価は堅調で、NYダウは最高値を更新、リスク選好ムードも原油相場の上昇を後押しした。
前日高値を上抜き、一時は61ドル目前まで上昇したが、その後は上げ幅を削る動きに。直近の上昇により高値警戒が強まり、一旦利益を確定する動きに上値を抑えられた。下げに転じると、利食い売りが加速した。石油輸出国機構(OPEC)が発表した月報で、来年の対OPEC需要の伸びが鈍化するとの見通しも圧迫要因となった。上げ幅縮小からマイナスに転じて引けている。
原油情報 2019年7月11日
10日の原油相場は大幅続伸。米国の原油在庫が予想以上の大幅な取り崩しとなったことを受け買いが先行した。また、利下げ観測から株式市場が上昇、リスク選好度が増したことにも支援され、WTI期近8月限は一時60.53ドルまで上昇した。5営業日続伸。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は事前予想を大幅に上回る減少となった。前日に米石油協会(API)が発表した統計内容をも上回る取り崩しとなったことで、供給過剰感の緩和から需給が改善するとの見方が広がった。また、現在メキシコ湾内に発生している熱帯低気圧「バリー」が、熱帯暴風雨に発達して週末にはハリケーンとなってルイジアナ州に上陸する見通しで、これにより供給障害が発生するとの見方も加わった。すでに大手石油会社は従業員を避難させるなどの措置を講じているという。
米国の需給要因のほか、リスク選好ムードが強まったことも相場を押し上げた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日の議会証言で、中国との貿易戦争のリスクを指摘、また好調だった雇用統計を受けても当局の見通しに変更はないとの見解を示した。このハト派的な発言を受け、今月の米連邦公開市場員会(FOMC)での利下げ観測が強まり、株価は上昇、ドルは売られる展開に。リスクオンの流れは原油相場にも及び、上げ足を速める一因となった。これらを受けて直近高値60.28ドルを上抜き、5月中旬以来、約1ヶ月半ぶりの高値を示現した。
原油情報 2019年7月10日
9日の原油相場は小幅続伸。中東情勢不安や米原油在庫の減少予想を背景に買いが優勢となった。WTI期近8月限は一時59.10ドルまで上昇する場面も。これで4営業日続伸。
イランがウラン濃縮活動を再開している。ウラン濃縮度は核合意で定められた上限の3.67%を上回り、西側諸国の出方次第では20%への引き上げも検討するという。上限超えは国際原子力機関(IAEA)も確認。これに対して米国側は軍事行動も辞さない構えを示すなど、イランをめぐる軍事的緊張が高まっており、それに伴い原油輸送障害が懸念され、原油相場の下値を支えている。中東の緊張が高まるなか、米国の原油在庫が減少するとの市場予想を受け、需給が引き締まるとの見方から買いが優勢となった。ただし、米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言や米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨発表を控え、外為市場や株式市場が様子見から比較的穏やかな取引となったこともあり、原油相場もこの流れに連れて積極的な商いは手控えられた。そのため高値では利益確定の売りが出て、上げ幅が抑えられた格好。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比810万バレル減と事前予想(310万バレル減)を大幅に上回る減少となった。これを受け、時間外取引では買いが先行し、日本時間10日午前9時現在で58ドル後半へと値位置を切り上げている。
原油情報 2019年7月9日
週明け8日の原油相場は小幅続伸。イランの核開発をめぐる懸念から買いが優勢となった。3営業日続伸。ただし、ドル高および株安が重石となり、上げ幅は小幅にとどまった。
イランは7日、核合意の履行停止第2弾として、ウラン濃縮度の上限を超過させる方針を示した。翌8日には、2015年の核合意で定めた上限である3.67%を超え、4.5%程度になったことを明らかにした。欧州などとの協議に進展がないようだと、第3弾としてウラン濃縮度の20%までの引き上げなども検討するとしている。これに対してトランプ米大統領は牽制する発言をしており、両国の緊張が一層高まるとの警戒が強まった。また、イランは前週、英国がイラン船籍のタンカーを拿捕したことに対し報復を警告しており、イランをめぐる情勢悪化に伴い中東の原油供給に支障が出るとの見方が広がった。これらを受けWTI期近8月限は一時58.46ドルまで上昇する場面も見られた。
しかし、前週末の米雇用統計を受けてドルが上昇、一方で利下げに対する期待が後退して株価は下落しており、これらが原油相場の上値を抑えたため、上げ幅を縮小して取引を終えている。
(提供元:CREEX)