2019年6月4日~6月10日
原油情報 2019年6月10日
週末7日の原油相場は続伸。ドル安や株高、需給改善期待から買いが先行した。週末を前にした持ち高調整の動きからの買戻しもあり、WTI期近7月限は一時54.32ドルまで上昇する場面も見られた。
この日発表された5月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想を大幅に下回る増加にとどまった。同指標を受けて、年内利下げの可能性が浮上しドル売りが先行、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が増した。また、利下げ観測から投資家心理が改善、株式市場が続伸したことで、リスク選好度が高まったことも原油相場を押し上げた。このほか、米国とメキシコの交渉に対して過度な悲観的見方がやや和らいだことも、市場心理改善につながっている。
需給面からも買いが集まった。今月下旬に総会を控えるなか、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、7月以降も減産を継続する可能性を示唆した。現行の減産を継続すべきとしたうえで、石油輸出国機構(OPEC)は合意に近づいていると言及。需給不均衡の改善への期待感が広がった。また、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計でリグ稼働数が減少したことで、米国の供給過剰感が幾分和らいだ。
これらブル要因に加え、直近に約5ヶ月ぶりの安値を付けたこと、その後に買い戻されていることもあり、週末を控え、売り方の買戻しが強まったことも相場を支えた。
原油情報 2019年6月7日
6日の原油相場は反発。米国の対メキシコでの貿易問題に対する警戒が幾分和らいだことで、需給が一段と緩むとの懸念が後退した。また、ドル安や株高、5ヶ月ぶりの安値からの反動もあり、買いが優勢となった。
トランプ米大統領は、不法移民流入阻止に対する措置を講じない限り、メキシコからの輸入品に対して関税を課すことを発表、その開始期限が6月10日に迫っている。メキシコとの協議に関して同大統領は前日、「十分とはいえない」との見解をツイートしている。貿易摩擦の激化が懸念されるなか、この日も両国は交渉を再開したが、難交渉が続いている。不安感が高まるなか、追加関税の発動を遅らせることを検討しているとブルームバーグが伝えたことで、摩擦悪化による経済減速への懸念がやや緩和した。これにより需給の緩みへの過度の警戒感は後退、買いを誘った。
このほか外為市場でドルが軟化したこともサポート要因となった。週末7日の米雇用統計を前に発表されたADP雇用報告の内容が弱かったことがドル売りにつながった。また、対メキシコ関税の先送り検討の報を受け、市場心理改善から株価が上昇したことも原油上昇の追い風となった。前日に約5ヶ月ぶりの安値へと値を沈めたこともあり、買戻しの機運が高まった。ただし、米中問題に対する警戒は依然として燻り続けており、戻したものの上値は限られた。
原油情報 2019年6月6日
5日の原油相場は大幅反落。米国の原油在庫が予想に反して大幅な増加となったことが嫌気された。需給緩和を見込んだ売りに押され、WTI期近7月限は一時50.60ドルまで下落、期近ベースとしては約5ヶ月ぶりの安値を付けた。
貿易摩擦に対する警戒感が強く、前日発表された米石油協会(API)の統計内容が弱気だったこともあり、時間外取引は上値重く推移した。通常取引開始後、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、改めて弱気な内容が示されたことで売りが膨らんだ。米国の原油在庫は減少予想に反して大幅な積み増し。輸入量が増えたことが主たる在庫増の要因だが、原油生産量も過去最高を更新するなど、ベアな材料が多い。ガソリン、ディスティレートもともに予想を大幅に上回る在庫増となっており、米国の原油需給の緩みに対する警戒感が強まった。
リファイナリーの稼働上昇に伴い石油製品生産量は高い水準にあり、需要を十分補完しきれるだけの供給がある状況。メキシコとの通商問題の結果次第では、メキシコ向けの石油製品輸出量が減少することになり、米国内の石油製品のダブつき感が増すことが連想される。原油に関しては、メキシコ産原油の輸入減少につながるが、自国の生産が増え続けており、相当量の輸入減ないしは輸出増がない限り、余剰感解消にはつながり難い。定修明けでリファイナリーの稼働は上がってはきているが、米中問題など貿易戦争が長期化すると、エネルギー需要自体が抑制されるため、米国の石油需給の緩和感は続くと見る向きが多い。
これらを手掛かりに売りが先行、外為市場でドルが買われたことも合わせて相場の重石となり大きく値を崩した。心理的な節目である50ドルを下抜くと、投げ(買い方の損失確定の手仕舞い売り)に一段と拍車がかかる可能性がある点は念頭に入れておきたい。
原油情報 2019年6月5日
4日の原油相場は小反発。米株式市場の大幅高を受けリスク選好度が増し、原油相場も連れ高した。直近の下落に対する反動からの戻りも出たとみられる。ただし、貿易摩擦への懸念が依然燻っており、上値の重い商状。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日、貿易戦争などに起因するリスクに対して適切な対応を行うと述べた。この発言を受け市場では利下げへの期待感が高まり、FRBによる景気下支えが続くとの見方から株式市場は大幅な上昇となった。株価が上昇したことで、拍車がかかっていたリスク回避の動きが後退、楽観ムードは原油相場にも波及した。前日に2月以来の安値まで値を沈めた反動もあり、短期の戻りを期待した買いも入り、WTI期近7月限は一時53.78ドルまで上昇する場面も見られた。
しかし、上値は重い。中国商務省はこの日、対話による解決について言及、米中通商協議の再開の可能性が浮上したが、これまでの中国の出方に米国側の理解は得られておらず、両国の溝が埋まるには時間を要するとの悲観的な見方が強くある。また、米国とメキシコとの関係悪化への懸念も依然として残る。トランプ米大統領はこの日、予定通りに次週より全てのメキシコ製品に関税を課すことになるとの見方を示している。これら貿易摩擦により世界的な経済成長が下押され、エネルギー需要が減退するとの警戒が上値抑制となった。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比350万バレル増と事前予想(80万バレル減)に反して増加した。同報を受け、時間外取引では売りが先行している。
原油情報 2019年6月4日
週明け3日の原油相場は続落。序盤は買いが先行したが、米中貿易摩擦による景気減速への懸念は根強く、上げ幅縮小からマイナスサイドに転落した。WTI期近7月限は一時52.11ドルまで下落、期近ベースとしては2月以来の安値を付けた。
サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相の発言を受けて買いが先行した。協調減産の期限である6月末以降も、供給超過を回避すべく市場安定維持に向けて対処する考えを示唆したと伝わった。同報を受け、減産継続など生産調整をし続けることで、さらなる需給悪化は回避されるとの見方が広がった。これを受けて買いが先行、前週末までの急落に対する反動からの買戻しや、値ごろからの安値拾いの買いも入り、序盤は値を上げる展開に。一時54ドル台後半まで上昇した。
しかし、買いは続かず。買いに一服感が出ると、世界的な景気減速懸念を背景に売りに押される展開となった。米国発の貿易を巡る緊張が高まっているため、リスク資産から安全資産への資金シフトが強まった。外為市場では円やスイスフラン、その他では債券市場、金相場など安全資産への逃避買いが強まる一方、高リスクの資産である株式市場や原油相場は売られる格好に。下げに転じると、戻り待ちの売りも集まって序盤の上げ幅を削り、マイナスサイドへと値を崩して取引を終えた。
(提供元:CREEX)