2019年5月28日~6月3日
原油情報 2019年6月3日
週末31日の原油相場は大幅続落。トランプ米大統領がメキシコに関税を課すことを表明したことで、世界的な貿易戦争激化により景気が後退するとの見方が広がった。投資家心理が急速に冷え込み、原油相場は売りが膨らんだ。WTI期近7月限は一時53.05ドルまで下落し、期近ベースとしては約3ヶ月半ぶりの安値を付けた。
米中貿易問題を警戒、前日まで大きく値を下げていたが、この日は一段とリスク回避の動きが強まった。トランプ米大統領は前日、メキシコの移民対策が不十分であるとし、メキシコからの輸入に制裁関税を課すことを表明した。米国はメキシコから原油を輸入しているため、米国の原油輸入量は減る可能性がある。しかし、メキシコ向けの原油輸入量以上に石油製品を輸出しているため、メキシコが報復措置に動くと米国の原油ダブつき感は増すことが想定される。
需給面の弱いシナリオが連想されたうえ、米国発の貿易摩擦の拡大への懸念がこれまで以上に強まったことで、リスクオフの動きに拍車がかかった。安全資産とされる債券や金が買われる一方、リスク資産である株式市場は大幅安、原油も同様に売りが集まった。売り遅れた筋が慌てて売りに動き、一時はパニック売りの様相を呈した。
なお、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数が4週ぶりに増えたことが判明し、これも相場の重石となった。
原油情報 2019年5月31日
30日の原油相場は大幅続落。米中貿易摩擦への懸念が広がるなか、米国の原油在庫が予想ほど減少しなかったことを受け、需給が緩むとの見方から売りに押された。WTI期近7月限は一時56.33ドルまで下落し、期近ベースとしては約2ヶ月半ぶりの安値を示現した。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は減少したものの事前予想を下回った。生産量が増えており、在庫のダブつき感がなかなか解消されていない。ドライブシーズン入りしたガソリンに関しても、在庫減少予想に反して積み上がる結果となり、米国の石油需給が悪化するとの懸念が強まった。
また、米中問題が燻り続けていることも相場の重石となっている。トランプ米大統領はこの日、中国との交渉がうまくいっていると言及したが、方や中国側は米国の行動はむき出しの経済テロと強く非難しており、双方から相反する見解が示された。これにより両国の関係悪化、延いては世界経済成長の妨げとなるとの警戒感が広がっている。
これらを手掛かりに売り物が膨らみ、値を崩す展開となった。断続的に値位置を切り下げ、取引終盤には前日安値56.88ドルを割り込むと、さらに下げ足を強め、一時56.33ドルまで値を冷やした。ほぼ安値付近で取引を終えたが、その後の時間外取引でも軟調地合いを継続、日本時間午前8時台には56ドル付近まで下落している。
原油情報 2019年5月30日
29日の原油相場は反落。米中貿易戦争の長期化により世界経済成長が鈍化するとの懸念が広がり、売り優勢の展開となった。3営業日ぶりの反落。WTI期近7月限は一時56.88ドルまで下落し、期近ベースとしては3月中旬以来の安値を付ける場面も見られた。
米中関係に収束の兆しは見られず、悪化の一途を辿っている。トランプ米大統領はディールを行う用意はないとし、これに対し中国も対抗措置を警告。中国紙が伝えたところによると、中国政府は米国への報復措置としてレアアース(希土類)を利用する用意があるという。これらを受け、貿易戦争が長期に及び、経済成長鈍化、景気後退を招くとの不安感が高まった。投資家のリスク回避姿勢が強まり、ドルが買われ、株が売られるといった展開に。リスクオフムードは原油相場にも波及、売り物が膨らんだ。直近安値57.33ドルを下抜くと、投げ(損失確定の手仕舞い売り)を呼び込み、下げ幅を拡大、56ドル台へと値を冷やした。
ただし、売り一巡後は値を戻す動きとなった。ある程度投げ物をこなしたことで、ショート筋(売り手)の利益確定の買戻しを誘った。また、米国の原油在庫が減少するとの事前予想も支援材料。定修明けのリファイナリーの稼働上昇に伴い、原油在庫は前週比90万バレルの減少が見込まれている。これらを手掛かりに下げ幅を縮小した。
引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比530万バレル減と予想を大幅に上回る減少となったことが明らかに。これを受け、時間外取引では堅調に推移、日本時間午前7-8時時点では59ドルを上抜く場面も見られている。
原油情報 2019年5月29日
28日の原油相場は続伸。特段目新しい材料は見当たらず、連休前の持ち高調整絡みの動きが続き、やや買いが優勢となった。米国のリグ稼働数の減少や中東不安などが引き続き支援材料となっているが、ドル高や株安が重石となり上値は限られた。
メモリアルデーに伴う連休明けのこの日は、新規材料に乏しく、ポジション整理中心の動きが続いた。60ドル割れから大幅安となった23日以降、その反動からやや買戻しが優勢となっている。この日もこの流れを継続、買いが先行した。前週末にリグ稼働数が昨年3月以来の800基割れとなったことが明らかとなり、米国の需給緩和感が後退するとの見方も下値を支えている。また、イランと米国の対立も引き続きサポート要因。これらを背景に値を上げた。
ただし、上値は重い。米中通商問題の長期化が懸念され、安全通貨としてのドル買い需要が高まった。また、英EU離脱問題やイタリアの財政不安もあり、ドルは対ユーロで上昇し、ドル建てで取引される原油に割高感が意識された。米中貿易摩擦を巡る懸念はリスク回避姿勢を強め、株式市場が下落に転じたことも原油相場の心理的な重石となった。
買い優勢から上昇したものの、節目の60ドルを上抜くには至っていない。同水準がレジスタンスとして意識されていることが窺える。
原油情報 2019年5月28日
週明け27日の原油相場は、米国はメモリアルデー、英国はスプリングバンクホリデーに伴う祝日のため休場。
(提供元:CREEX)