2019年5月21日~5月27日
原油情報 2019年5月27日
週末24日の原油相場は反発。米中関係悪化への過度な懸念が後退し、株価上昇に連れ買いが優勢となった。前日の下落に対する反動からも買戻しが入った。
トランプ米大統領は前日、中国との貿易戦争が早期に解決するとの楽観的な見方を示した。これを受け悲観的な見方が幾分後退した。メモリアルデーに伴う3連休を控えていることもあり、前日の大幅下落に対する反動から買い気が高まった格好。株価が小幅ながらも上昇に転じたことで、リスク回避ムードが和らぎ、リスク資産の一角とされる原油も買い戻された。
また、米国のリグ稼働数が減少したことも好材料となった。米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数は3週連続で減少した。昨年3月以来となる800基割れとなったことで、供給過剰見通しがやや後退した。このほか、イランを巡っての地政学的リスクもある。前日の下落である程度売りが一巡したとの見方が広がり、買いが優勢となった。
ただし、節目の60ドルを上抜くには至っていない。警戒感が和らいだとはいえ、依然として米中通商問題に対する懸念は根強くある。石油輸出国機構(OPEC)主導の減産緩和の見方も残っている。60ドルを再度上抜くまでは、戻り上値は打たれやすい地合いとなる公算が大きいだけに注意が必要である。
原油情報 2019年5月24日
23日の原油相場は大幅続落。米中貿易摩擦の悪化による世界的なリセッションへの懸念が強まり、売り物が膨らんで大幅な下落となった。
米中間の対立が深まり、経済成長が鈍化することが懸念された。投資家心理が冷え込み、安全資産とされる米国債や金相場などが逃避需要から買われ、一方でリスク資産とされる株式市場や原油相場は売りが集まった。一時逆イールドになるなど債券買いにより長期金利が低下、これも株売りに拍車をかけた。また、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる不透明感が強く、欧州景気の鈍化も株売りを促した。投資マネーがリスク資産から流出、株安に連れ原油相場も売られた。
メモリアルデーに伴う3連休を控えていることもあり、持ち高調整の動きも相場を押し下げた。直近の下げ局面でサポートされた節目の60ドルを割り込んだことで、ロスカット絡みの売りを巻き込む格好に。その後は売りが売りを呼ぶ展開となり、WTI期近7月限は一時57.33ドルまで下落、期近ベースとしては3月中旬以来の安値へと値を沈める場面も見られた。終盤、幾分値を戻したとはいえ、市場のセンチメントは大きく弱気へと傾倒している。中東不安はあるものの米中問題による景気減速への懸念は強く、また米国の原油需給の緩みもあり、投げ(損失確定の手仕舞い売り)が一巡したとの判断は早計だろう。株価次第ではあるが、もう一段の下落も念頭に入れておく必要がある。
原油情報 2019年5月23日
22日の原油相場は下落。米国の原油および石油製品在庫が予想に反して増加したことを受け、需給悪化への懸念が強まり売りが先行した。この日から当限(期近)に回ったWTI期近7月限は61ドル台へと値を冷やしている。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は予想外の大幅な増加となった。輸入量が大幅に落ち込んだが、製油所への投入量や輸出量といった需要サイドも減少、さらに生産量が増加したため、在庫積み増しが続く格好となった。WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫も引き続き増加しており、米国内の原油需給は緩んだ状態が続くとの見方が広がった。また、次週27日のメモリアルデーを含む連休を境にドライブシーズン入りとなるが、ガソリン在庫も予想に反して増加した。これを受けてRBOB相場が軟化、原油相場の重石となった。
このほか、米中貿易戦争をめぐる懸念が再び強まったことも圧迫要因となった。トランプ政権は中国監視カメラ大手ハイクビジョンに対して禁輸措置を検討しているという。この報を受けて投資家心理が冷え込み、株価が下落し、これに歩調を合わせてリスク資産の一角とされる原油相場も売られた。
原油情報 2019年5月22日
21日の原油相場は期近安・期先高。中東の地政学的リスクが下値を支える一方、ドル高が重石となり、方向感を欠いた展開となった。週間石油統計の発表を控えていることや、WTI期近6月限がこの日納会を迎えたこともあり、持ち高調整中心の動きとなった。
ロイターが伝えたところによると、イランのロウハニ大統領はこの日、米国と交渉する意向がないことを明らかにした。トランプ米大統領は前日に、イランが米国に交渉を要請してくるとツイートしており、これに反論した格好。脅しには屈しないと強い姿勢を示しており、両国の緊張が一段と高まっている。これを受け、中東の原油供給に支障が出るとの見方が広がり、下値の堅い展開となった。
一方、上値も重かった。米中通商交渉の行方には依然として不透明感が強いが、中国通信機器大手ファーウェイへの禁輸措置が一部緩和することが明らかとなり、ドルは対ユーロなどで上昇した。これによりドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下、売りを誘った。中東要因から時間外取引は比較的堅調に推移していたが、通常取引開始後はドル高を背景に上げ幅を縮小する動きとなり、期近限月は小幅に値を崩して取引を終えた。
なお、米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週から240万バレル増加した。事前予想は60万バレル減。これを受けて時間外取引はやや売りが優勢となっている。
原油情報 2019年5月21日
週明け20日の原油相場は反発。イランをめぐる緊張が続いていることや、石油輸出国機構(OPEC)らによる協調減産継続への期待感から買いが優勢となった。
トランプ米大統領は前日ツイッターで、「米国と戦うならばイランは正式に終わりだ。二度と米国を脅すな!」と警告した。ここにきて急速に軍事的緊張が高まっている。米国のイラン産原油禁輸適用除外措置の撤廃に対抗するイラン側の動きが、中東情勢を緊迫化させている。米国向けのサウジアラビアのタンカーへの攻撃、サウジアラビアのパイプライン施設への攻撃、さらにはイラクの米機関が集まる地域への砲撃などが相次いでいる。また、イランはこの日、ウラン濃縮施設での低濃縮ウラン製造量を4倍に引き上げた。合意の範囲内とはいえ、米国を牽制する動きが窺える。軍事衝突も起こりえないのではとの見方も出始めており、中東情勢悪化による供給減少への懸念が買いを誘っている。
また、OPEC主導の協調減産継続の可能性が示唆されたことも支援材料。OPEC加盟・非加盟国の合同閣僚監視委員会(JMMC)は前日、サウジアラビアで会合を開いて協議し、7月以降も減産継続は主要な選択肢であるという。ロシアからの減産緩和の声もあり、減産幅は縮小する可能性が高いが、減産継続がメインシナリオであるとしており、需給改善への期待感が強まった。これらを背景に強含み、WTI期近6月限は一時63.81ドルまで上昇する場面も見られた。
(提供元:CREEX)