2019年4月2日~4月8日
原油情報 2019年4月8日
週末5日の原油相場は反発。米雇用統計の内容が好調だったことやリビアの政情不安を受け買いが先行した。WTI期近5月限は一時63.34ドルまで上昇、期近ベースとしては約5ヶ月ぶりの高値を示現した。
需要面においては、良好な米雇用統計を受けてエネルギー需要の伸長への期待が高まった。この日発表された3月の米雇用統計のなかで、非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想を上回る増加となった。米中通商協議への進展期待もあり、リセッションへの懸念が後退した。景気が持ち直すことで、エネルギー消費が伸びるとの期待感から買いが入った。また、同指標を受けて株価が上昇したことにも支援された。
一方、供給面においては、リビアからの供給量が減少するとの見方が広がった。分裂状態が続く同国で、武装勢力を率いるハフタル司令官が暫定政府の拠点である首都トリポリへの進軍を命じた。同報を受けて内戦再開への軍事的緊張が高まり、同国からの供給減少が懸念された。
これらを手掛かりに買いが先行、63ドル台に乗せると踏み(売り方の損失確定の買戻し)を巻き込み上げ足速め、一時63.34ドルまで上昇する場面も見られた。なお、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数が7週ぶりに増加に転じたが、市場の反応は限られた。
原油情報 2019年4月5日
4日の原油相場は続落。ドル高を受けて一旦利益を確定する動きが強まり、売りが優勢となった。
外為市場でドルが対ユーロで上昇、市場のセンチメントが弱気に傾いた。軟調な独経済指標を受けてユーロ圏の経済成長が鈍化するとの見方が広がり、ユーロ売りが先行した。また、この日に発表された新規失業保険申請件数が約49年ぶりの低水準となったことで、週末の米雇用統計に対する期待感が高まり、ドル買いが促進された。ユーロ/ドルの下落によりドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下、原油相場は売りが先行する展開に。軟調ムードとなると、前日の在庫統計での原油在庫の予想外の大幅増加が改めて嫌気され、手仕舞い売りが促される格好となった。
利食い売りに押されてWTI期近5月限は一時61.89ドルまで下落。ただし、下値の堅さは維持している。主要産油国による協調減産、イランやベネズエラ産原油の供給減少懸念、それに米中通商協議の進展期待の高まりもあり、下値を売り込まれるには至っておらず底堅さが示されている。米雇用統計の内容を見極めたいというムードも、積極的な商いを手控えさせている模様。
原油情報 2019年4月4日
3日の原油相場は反落。米国の原油在庫の増加を嫌気した売りに押された。4営業日ぶりの下落。
前日までの堅調地合いを引き継いだ買いが先行し、時間外取引でWTI期近5月限は一時62.99ドルまで上昇した。しかし、通常取引開始後は米原油在庫の予想外の増加を受けて値を下げる展開へと転じた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は減少予想に反して急増した。輸入水準が依然として低位で推移しているが前週の統計からは増加、生産量も増加した。一方、製油所への投入量は小幅に減少し、輸出量も減ったため、在庫は積み上がる格好となった。WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫も2週連続で増加した。これを受けて市場は売りで反応、時間外取引で62.99ドルまで値を上げたが、節目の63ドルを前に打たれたことも重なり、利益確定の動きが強まった。売りに押され、一時62.05ドルまで軟化した。
しかし下値も堅く、売り一巡後は持ち直した。EIA統計で原油は弱気な内容が示されたが、ガソリンおよびディスティレート在庫は予想以上に減少したため、買戻しの動きも見られた。また、米国によるイランやベネズエラの制裁強化に対する懸念やドル安、株高もあり、下値からは値を戻して引けている。
原油情報 2019年4月3日
2日の原油相場は続伸。需給が引き締まるとの見方から買いが先行した。WTI期近5月限は一時62.75ドルまで上昇し、期近ベースとしては昨年11月上旬以来の高値を付けた。3営業日続伸。
米国の対イラン、ベネズエラ制裁が強化されるとの見方が広がった。前週に米大統領補佐官が、ベネズエラと取引する第三国の企業に対して制裁発動する可能性について言及したことに続き、米政府高官は1日、イラン産の禁輸措置の適用除外を中止できると述べた。ベネズエラのマドゥロ政権に対する圧力強化、イランへの一段の経済制裁を米政府は検討しているうえ、ベネズエラでは停電の影響で電力供給が不足し、輸出ターミナルが操業を停止しているとも伝わっており、この2カ国の原油供給減少が世界的な需給引き締まりにつながると観測が強まった。なお、日本、中国、韓国、台湾、インド、ギリシャ、イタリア、トルコの8カ国が適用除外を受け、180日間の輸入が可能となっているが、5月初旬にはその猶予期間も終わりを迎える。
方や需要面においては、米中の製造業関連指標が好調だった影響を維持、景気減速に対する懸念後退からのエネルギー需要の伸長が期待されている。これらを手掛かりに買いが先行、前日高値61.80ドルを上抜くと62ドルに台乗せ、一旦利食い売りが出る場面もあったが、その売りが一巡すると再び騰勢を強め、62ドル台後半まで持ち上がった。
原油情報 2019年4月2日
週明け1日の原油相場は続伸。世界的な景気減速への懸念が和らぎ買いが先行した。WTI期近5月限は一時61.80ドルまで上昇、期近ベースとしては約5ヶ月ぶりの高値を付けた。
米中の製造業統計に底堅さが示されたことで、先行き景気に対する不安感が後退した。この日発表された中国の3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は8ヶ月ぶりの水準に上昇、景気の分かれ目となる50を4ヶ月ぶりに上回った。また、米国では3月のISM製造業景況指数が市場予想を上回る上昇した。世界的な経済成長減速が懸念されていたが、これらの良好な指標を受けてそれらの懸念は後退、同時にエネルギー需要の減退懸念も後退した。
主要産油国の減産も好材料となった。ロイター調査によると、3月の石油輸出国機構(OPEC)の産油量は日量3040万バレルと前月から減少した。生産水準としては2015年以来の低さ。また、ブルームバーグ調査でも、OPEC産油量は4ヶ月連続で減少した。ともにサウジアラビアの減産が大きかったという。協調減産対象外ではあるが、ベネズエラの停電の影響も出ている。OPEC加盟国全体としては合意目標を超える水準での減産が履行されている。これらの報も原油買いを促した。
株高を受けてリスク選好度が増したことも上昇の追い風となり、前週末の高値60.73ドルを上抜くと買いに拍車がかかった。売り方の損失確定の買戻し(踏み)を巻き込み上げ幅を拡大、61.80ドルまで値位置を切り上げた。
(提供元:CREEX)