2019年3月5日~3月11日
原油情報 2019年3月11日
週末8日の原油相場は反落。米中の経済失速が懸念され、売りが先行する展開となった。WTI期近4月限は一時54.52ドルまで下落し、期近ベースとしては約3週間ぶりの安値を付けた。
中国海関総署が発表した2月の貿易統計で、輸出が大きく落ち込んだ。米中貿易摩擦による影響とみられ、エネルギー消費大国の景気減速への懸念が強まった。また、米労働省が発表した2月の雇用統計で、非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想を大幅に下回る増加にとどまった。低調な経済指標を受けて、同じくエネルギー消費大国の経済成長鈍化が懸念された。これらを背景に原油需要の減退観測が強まり、売りが先行する展開となった。さらに米雇用統計が低調だったことは株式市場にも影響、米株式市場は5営業日続落となり、投資家心理の冷え込みは原油相場にも波及した。WTI期近4月限は節目の55ドルを割り込んだことで、短期的に投げ物に押されて下げ幅を拡大、一時54.52ドルまで軟化する場面も見られた。
ただし、週末を控えていることもあり、短期下落に対する反動からショートカバーも入ったため、売り一巡後は下げ幅縮小から幾分値を戻した。また、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数が3週連続で減少したことも、買い支えられた一因。
原油情報 2019年3月8日
7日の原油相場は反発。世界的な需給均衡への期待から買いが優勢となった。ただし、ドルが上昇したため、上値は抑えられた。
特段目新しい材料は見当たらず、石油輸出国機構(OPEC)加盟国やロシアなど非加盟国による協調減産により、供給が引き締まるとの見方から買われた。産油大国であるサウジアラビアとロシアは、今月の産油量を引き下げる方針を示しており、協調減産は順守されているとの見方が広がっている。また、米国による制裁に伴い、ベネズエラやイランからの供給減も懸念され、世界的に原油需給が均衡するとの期待がある。前日に米国の原油在庫の予想以上の大幅増を受けて原油相場は軟化したが、節目の55ドルを割り込むには至らず、底堅さを示していたことも買い安心感につながった模様。これらを手掛かりに買いが先行した。WTI期近4月限は一時56.99ドルまで上昇した。
しかし、外為市場でドルが対ユーロで上昇したため、上げ幅は限られた。欧州中央銀行(ECB)理事会が利上げ時期を来年に先延ばししたことで、ユーロ売りが加速、それに伴いドル高が進んだ。これによりドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下、上値を抑えた格好。
原油情報 2019年3月7日
6日の原油相場は続落。米国の原油在庫が市場予想以上に増えたことが嫌気され、売りが先行した。
前日引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は予想を大幅に上回る増加となり、これを受けて時間外取引では売りが優勢となり、56ドル前後で推移した。通常取引開始後、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計でも、原油在庫は予想以上の大幅な積み増しとなったことが確認され、需給緩和を警戒した動きが強まった。過去最高水準の生産量を維持するなか、前週には急減した輸入量が回復、さらに輸出量の減少もあり、在庫は予想の120万バレル増に対して700万バレルを超える増加となった。
米石油メジャーのエクソンモービルは前日、従来予測を超えるペースでのシェール生産が続くとの見解を明らかにした。主要シェール鉱区であるパーミアンにおけるシェールオイルの生産量見通しを、昨年見通した2025年時点での日量60万バレルから、今回は2024年に日量100万バレル以上へと大幅上方修正している。足元の原油在庫の増加と相乗し、シェール増産による過剰供給への警戒感が一段と強まった。
一方、ガソリン在庫が予想以上に減少したため、WTI期近4月限は55ドルを割り込むには至らなかった。今後のガソリン需要期を控えるなか、ガソリン在庫は予想以上に減少、在庫水準も前年同期を若干ながら下回った。これを受けてRBOB相場が上昇、この動きに支えられ、終盤は下げ幅を縮小した。
原油情報 2019年3月6日
5日の原油相場は小反落。リビア油田の再開の報やドル高を受け売りが優勢となった。
前日の地合いを引き継ぎ、需給均衡への期待から買いが先行した。3月に減産を加速させるというサウジアラビアに続き、ロシアも同様に減産すると伝わった。石油輸出国機構(OPEC)らによる協調減産が順守され、需給均衡化への期待が高まった。WTI期近4月限は一時57.19ドルまで上昇した。
しかし、リビア最大の油田が生産を再開したとの報が上値を抑えた。昨年12月に民兵に占拠されたことで閉鎖していたエルシャララ油田が操業を再開したという。操業の初期段階で日量8万バレルの生産が報告されている。同油田は日量30万バレル超の産油能力があり、通常操業に戻ると、OPEC主導の協調減産の効果を打ち消すため、これを懸念した売りに押される展開へと転じた。
また、この日発表された米経済指標が堅調だったことで、ドル高が進み、ドル建てで取引される原油に割高感が意識されたことも圧迫要因となった。2月のISM非製造業景況指数は3ヶ月ぶりの高水準、12月の新築住宅販売件数は7ヶ月ぶりの高水準となった。これらを背景に序盤の上げ幅を縮小、前日引けをわずかに割り込んで取引を終えた。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比730万バレル増と事前予想(120万バレル増)を大幅に上回る増加となった。これを受けて時間外取引では値を崩している。
原油情報 2019年3月5日
週明け4日の原油相場は反発。減産などにより需給が引き締まるとの見方が広がり、買いが優勢となった。
前週末1日にロイターが公表した統計で、2月の石油輸出国機構(OPEC)の産油量は日量3050万バレルと4年ぶりの低い水準となった。これに続き、ブルームバーグが2日に伝えたところによると、2月のロシアの原油生産量は昨年10月比で同10万バレル減少したという。非加盟国ロシアも順守するために減産幅を拡大した模様で、協調減産に沿った動きを市場は好感した。
産油国の減産履行に伴う需給均衡化が期待されたことで、同様に前週末に発表された米国のリグ稼働数の減少が改めて買い材料視された。米石油サービス大手ベーカー・ヒューズ公表の統計で、リグ稼働数は前週比10基減の843基と2週連続で減少、昨年5月以来の低水準へと減少していた。
これらを背景に買いが先行、WTI期近4月限は一時57ドルちょうどまで値を上げた。ただし、弱気な米経済指標を受けて株価が下落、これが重石となり、買い一巡後は上値の重い商状となった。
(提供元:CREEX)