2019年3月19日~3月25日
原油情報 2019年3月25日
週末22日の原油相場は続落。欧米の景況感悪化が懸念され、売りが先行した。株安を受け投資家心理が冷え込んだことや、週末を前にした持ち高調整絡みの動きも相場を押し下げた。
この日発表された欧米の景況感指数が弱気な内容となった。3月の独仏PMIが市場予想を下回った。米国時間に入ると、3月の米PMI速報値が予想以上に低下、欧米の景気減速への懸念が強まった。米中貿易問題も解消しておらず、世界的な経済失速に伴いエネルギー需要が減退するとの見方が広がった。安全資産としてのドル買い需要が後退したが、欧州経済指標の悪化もあったため、ドルは対ユーロで上昇した。これを受けドル建てで取引される原油に割高感が意識された。また、先行き景気に対する不安感から株式市場は急落、リスク選好度が低下したため、リスク資産の一角とされる原油も売られる格好に。
直近に約4ヶ月ぶりの高値を付けた後であり、かつ週末を控えているタイミングが重なり、利食い売り圧力が一時的に強まったことも下げ幅拡大につながった。手仕舞い売り先行から値を崩し、WTI期近5月限は一時58.28ドルまで値を冷やす場面も見られた。なお、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数が5週連続で減少したため、終盤は幾分持ち直す動きとなり、59ドル水準で引けた。
原油情報 2019年3月22日
20日の原油相場は反発。米原油在庫の予想外の減少やドル安を背景に買いが先行した。WTI期近4月限は一時60.12ドルまで上昇し、期近ベースとしては約4ヶ月ぶりの高値を付けた。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は予想に反して大幅な減少となった。石油製品在庫も予想以上の減少。石油輸出国機構(OPEC)らによる協調減産、米国による制裁に伴うイランやベネズエラの生産減から供給減少への懸念が高まるなか、米国の在庫減を受けて需給引き締まりへの警戒が強まった。また、米連邦準備理事会(FRB)が午後に入り、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を発表、年内の利上げ見送りを示唆したことで、ドルが対主要通貨で大幅に下落、ドル建てで取引される原油に割安感が意識された。これらを背景に買いが先行し、昨年11月中旬以来の60ドル台を示現した。
21日の原油相場は反落。この日から当限に回ったWTI期近5月限は一時60.39ドルまで上伸したが、利益確定の売りに押されて値を崩した。ドルが対主要通貨で反発したことも圧迫要因となった。
特段目新しい材料が見当たらないなか、需給引き締まりへの警戒から上昇した流れを引き継ぎ、この日も買いが先行した。ただし、5月限の前日高値60.28ドルに近づくと高値警戒が強まり、利益確定の売り物が出始め上値を抑えられる格好に。60.39ドルと前日高値を上抜いたが買いに勢いはなく、その後は上げ幅を縮小する動きに転じた。英国の欧州連合(EU)離脱に対する懸念から、外為市場では英ポンドやユーロが軟化、ドルが上昇したことも原油相場の重石となった。手仕舞い売りに押されて60ドルを割り込んで引けている。
原油情報 3月20日
19日の原油相場は小反落。需給引き締まりへの警戒から買いが先行、WTI期近4月限は一時59.57ドルまで上昇した。しかし、節目の60ドルを前に足踏み、利食い売りに押されて小幅に値を下げている。
石油輸出国機構(OPEC)らの協調減産が6月末まで続くとの見方が広がり、需給均衡への期待感から買いが優勢となった。前日に開催された合同閣僚監視委員会(JMMC)の会合で、4月の臨時総会での目標見直しは見送られ、今年下期の生産目標については6月開催予定の定時総会で話し合われることに。元々、協調減産の期限は6月末までであったが、期中での見直しは行われず、当初設定の期限まで減産が履行されることが明らかとなったため、市場はこれを好感した。
また、イラン、ベネズエラに対する米国の制裁に伴い、生産量は一段と落ち込むとの懸念も下値を支えた。政情不安、米国による制裁、そして大停電の影響で生産減少傾向が続くベネズエラに関しては、アゼルバイジャンのエネルギー相はこの日、ベネズエラ国営石油PDVSAとの会合の後に、ベネズエラの主要輸出先であるインド向けの輸出が一時停止となっていることを明らかにした。米国がインドにベネズエラ産の輸入を停止するよう圧力をかけた影響とみられる。これによりベネズエラはロシア中国向けに輸出している模様。同国からの供給量が停滞するとの警戒もサポート要因となった。
これらを背景に一時59.57ドルまで上伸したが、心理的な節目である60ドルが近づくに連れ高値警戒が高まり、利食い売りに押される展開へと転じた。米国の週間石油統計の発表や米連邦公開市場員会(FOMC)を控えていること、翌日に納会となることもあり、一旦玉整理を進める一因となったとみられる。序盤の上げ幅を削り、マイナス圏で引けてはいるが、下値の堅さも目立つ。なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比210万バレル減と事前予想(30万バレル増)に反して減少。これを受けて時間外取引は小確りとしている。
原油情報 3月19日
週明け18日の原油相場は反発。サウジアラビアが減産に対して強気の姿勢を示したことを好感、需給均衡への期待感から買いが先行した。WTI期近4月限は一時59.23ドルまで上昇し、期近ベースとしては約4ヶ月の高値を付けた。
石油輸出国機構(OPEC)盟主であるサウジアラビアは17日、原油在庫が増加していることについて言及した。イランやベネズエラに対する米国の制裁により一部産油国からの供給量が減少しているものの、それでもなお原油在庫は増えており、市場均衡を目的とするOPECらの政策(協調減産)が奏功していないとの見解を示した。翌18日に開催されたOPEC加盟国およびロシアを含む非加盟国の会合においては、同国のファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、在庫が増え続ける限り減産方針を変更しないと述べた。目標は在庫水準を通常レベルに下げることであり、その水準からかけ離れている限りは均衡に向けて誘導するという。そのうえで6月末に終了する協調減産について、下期の生産に関しての決定は4月の段階では時期尚早とし、4月17-18日開催予定の臨時総会を見送り、6月25-26日の定時総会で減産の延長について協議することを決めた。これらの発言を受け、市場では減産延長への見方が強まり、買いが促された。
なお、エクソンモービルのテキサス州ベイタウン製油所(処理能力日量58.4万バレル)で16日に火災が発生した、これによる市場への影響は今のところ見られていない。
(提供元:CREEX)