2018年12月11日~12月17日
原油情報 2018年12月17日
12/17号
週末14日の原油相場は反落。中国や欧州の弱気な経済指標を受け、エネルギー需要に対する警戒感から売りが先行した。また、ドルが対ユーロで上昇したことも重石となった。
この日発表された中国の11月小売売上高は15年半ぶりの低水準となった。また、鉱工業生産もほぼ3年ぶりの低い伸びにとどまった。欧州では、12月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)が前月から低下、市場予想を下回った。これらを受け、先行きの景気減速への懸念が強まり、原油需要の伸びが鈍化するとの見方が広がり、売りが優勢となった。
外為市場でドルが対ユーロで上昇したことも相場の重石に。中国、欧州とは反して米国の経済指標が良好だったことが背景。11月の小売売上高と鉱工業生産が好調で、ドル買い需要が高まった。米国以外は経済不安が高まったこともあり、ドルの逃避需要もドル買いを促進させた。これによりドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下し、原油相場にとっては圧迫要因となった。また、米株式市場が大幅安となったことで、リスク回避姿勢が強まったことも売りを誘った。
米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数は前週比4基減の873基と減少したが、相場への影響はほとんど見られなかった。
原油情報 2018年12月14日
12/14号
13日の原油相場は反発。ドル高を背景に売りが先行したが、米国の原油在庫が減少するとの見方から買い戻された。株価が持ち直したことやサウジアラビアの輸出減少見通しも追い風となり、プラスサイドに切り返した。
早朝の時間外取引では売りが先行した。米中通商協議の進展期待や欧州中央銀行(ECB)が経済成長率見通しを小幅下方修正したことを受け、ドルは堅調に推移した。これによりドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下、売りにつながった。また、国際エネルギー機関(IEA)が公表した月例報告のなかで、11月の石油輸出国機構(OPEC)産油量が前月比増となったことが示され、これも相場の重石となった。売り先行からWTI期近1月限は一時50.35ドルまで値を冷やした。
しかし、通常取引開始後は巻き戻しの動きに転じた。米調査会社ジェンスケープが発表した統計で、11日までの週のクッシングの原油在庫が減少したことが明らかに。米エネルギー情報局(EIA)統計においても2週連続で米国の原油在庫は減少しており、この傾向が続くのではとの見方が相場を支えた。また、米国の原油在庫がこれまで積み上がっていたことや、1月からの協調減産再開もあり、サウジアラビア国営石油サウジアラムコが1月からの米国向け原油輸出を大幅に減らす見通しだと伝わった。さらに世界的に株価が持ち直す兆候が見られていることもあり、これらがサポート要因となって下げ幅を縮小、プラス圏へと浮上した。
原油情報 2018年12月13日
12/13号
12日の原油相場は反落。米国の原油在庫の減少を手掛かりに買いが先行したが、市場予想ほどの取り崩しではなかったため、上げ幅をすべて吐き出す展開となった。需給緩和への懸念は根強く、終盤はマイナスサイドへと値を冷やした。
前日引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比1020万バレル減と市場予想(300万バレル減)を大幅に上回る減少となった。リビアの武装勢力による輸出停滞もあり、時間外取引は堅調に推移した。対ユーロでのドル安もあり、WTI期近1月限は一時52.88ドルまで上昇、前日高値52.43ドルを上抜いた。
しかし、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計を受けて地合いは一転した。原油在庫は2週連続で減少、また原油生産量の減少、ガソリン需要の増加など強めの材料も見られた。しかし、原油在庫の減少幅は120万バレルにとどまり、予想以下であったため、時間外取引での上げ幅を削る動きとなった。
石油輸出国機構(OPEC)がこの日に発表した月報のなかで、11月のサウジアラビアの産油量が過去最高となったことも売り材料視された。イランが減産を強いられたが、それをサウジの増産が相殺している。同国の産油状況を勘案すると、相当高い順守率で減産を履行しないと、需給緩和感はなかなか解消しないとの見方が広がった。また、引け間際に米株式市場が上げ幅を急縮小したことも、原油相場にとってはベアな要因となった。
原油情報 2018年12月12日
12/12号
11日の原油相場は反発。米中通商問題に対する楽観姿勢から買いが優勢となった。また、リビアからの供給不安も支援材料。
トランプ米大統領はこの日、中国とトップレベルの電話協議を行ったことをツイッターで明らかにした。これを受け、米中貿易協議が進展するとの楽観が市場に広がった。貿易摩擦への懸念が和らぎ、景況感の回復により原油需要が減退するとの観測が後退した。
リビアの供給不安も相場を支えた。同国最大の油田エルシャララ油田が武装勢力に占拠され、リビア国営石油(NOC)は10日、同油田からの輸出についてフォースマジュールを宣言した。これにより同油田とエルフィール油田と合わせて日量38.8万バレルの原油生産が喪失見通しで、これを手掛かりに買いが入った。
これらを背景にWTI期近1月限は一時52.43ドルまで上昇したが、株式市場の戻りが鈍いことからリスク選好度は低く、買い気が強まるには至らず。また、ドルが対ユーロで上昇したため、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下したことあり、買い一巡後は上げ幅を削る動きとなった。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比1020万バレルの大幅減となった。事前予想は300万バレル減。これを受けて時間外取引では再び買いが優勢となり、日本時間午前9時時点で52ドル水準へと値を戻している。
原油情報 2018年12月11日
12/11号
週明け10日の原油相場は反落。世界的な景況感悪化への警戒から売りが優勢となった。
米中貿易戦争の長期化が懸念され、世界的な景気減速への懸念が強まるなか、英国が欧州連合(EU)離脱案の採決を見送ったことで、世界経済の先行き不透明感が一段と強まった。この影響で世界的な株安の動きが続き、投資家のリスク回避姿勢が強まり、リスク資産の一角とされる原油にも売りが及んだ。また、英国のEU離脱案の採決延期を受けドルが対ユーロで上昇、ドル建てで取引される原油に対して割高感が意識されたことも圧迫要因となった。なお、売りが先行していた米株式市場は午後に入り値を戻したが、テクニカル要因からの調整との見方が強く、底打ちとの判断は早計だろう。
前週末、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国が減産で合意したが、日量120万バレルの減産幅では需給改善の早期奏功は期待し難いとの見方も上値を抑える要因となっている。また、米国の増産が続くなか、サウジアラビアやロシアも増産傾向にあり、協調減産が足並み揃うか懐疑的な見方もある。
(提供元:CREEX)