2018年12月04日~12月10日
原油情報 2018年12月10日
12/10号
週末7日の原油相場は反発。石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国が1月から協調減産を実施することで合意したことを受け買いが先行する展開となった。また、外為市場でドルが対ユーロで下落したことも支援材料となった。WTI期近1月限は一時54.22ドルまで上昇する場面も見られた。ただし、株安を受けて終盤は上げ幅を縮小した。
6日のOPEC総会では減産の正式発表が持ち越されたが、7日のロシアを含む非加盟国との会合で、減産に前向きでなかったロシアの合意が得られ、1月から日量120万バレルの減産が決まった。OPEC総会では日量100万バレル程度で暫定合意していたが、減産幅が想定よりも大きかったことが好感された。また、ドルが対ユーロで売られたこともプラス要因に。この日発表された11月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を下回ったことで、利上げ早期打ち止め観測が広がり、ドルが売られた格好。これによりドル建てで取引される原油に割安感が意識された。
しかし、終盤は上げ幅を縮小する動きとなった。米雇用統計を受けて株式市場が軟化、リスク選好度が後退し、リスク資産の一角とされる原油にもその影響が及んだ。また、OPECらの減産幅が前日の暫定合意よりも大きなものとなったが、この程度の減産幅では需給緩和感の解消になかなか結び付かないのではとの見方が上値を抑えた。プラスサイドを維持して引けたが、高値からは1.5ドル超値を削った。
原油情報 2018年12月07日
12/07号
6日の原油相場は続落。様々な思惑から上下動を繰り返す不安定な値動きとなるなか、減産の正式決定発表が見送られたことで売りが優勢となった。米国の原油在庫は予想以上に減少したが、一方で輸出国へと転じたことに相殺された。
この日に開催された石油輸出国機構(OPEC)では、産油量削減で合意に達したが、減産の正式発表は見送った。翌7日にロシアなど非加盟国の会合を控えていることもあり、ロシアの確約を取り付けたい意向から発表を見送ったとみられる。依然としてロシアの動きに不透明感があるうえ、総会で合意した減産規模は最大で日量100万バレルとみられ、この程度の減産では需給改善につながらないのではという懐疑的な見方が広がった。発表の持ち越し、それと不透明感から売りが先行した。また、世界的な株安を背景にリスク回避の動きも圧迫要因となった。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は市場予想を大幅に上回る減少となった。11週ぶりの減少。輸入量が減少し、輸出量が増加したことが在庫減の背景。久しぶりの在庫減少を市場は好感、一時買い戻される動きに。しかし、原油輸出量が過去最高を更新、さらに石油製品を含めた輸出量が輸入量を上回り、シェール革命の影響でこれまで純輸入国であった米国が純輸出国に転じたことが明らかとなった。そのため、在庫減を受けて一時買われたものの、買い一巡後は押し戻される動きとなり、往って来いとなった。
終盤、再びやや持ち直した。世界的な株安連鎖からリスク回避の動きにあったが、序盤に値を崩していた株価が下げ幅を縮小したことに連れ、原油も下値からは値を戻した。ただし、プラスサイドに切り返すほどの勢いはなかった。
原油情報 2018年12月06日
12/06号
5日の原油相場は小反落。6日の石油輸出国機構(OPEC)総会で減産が決定するとの思惑やドル安を背景に買いが先行した。しかし、減産幅など不透明な要素が多いことから、買い一巡後は利益確定の売りに押され、マイナスサイドに値を沈めた。
翌日にOPEC総会を控えるなか、この日は閣僚級会合が開かれた。減産に消極姿勢にあるロシアが、協調減産合意を確約したと伝わり、6日の総会、7日の非加盟国の会合で協調減産が決まるとの観測が広がった。これにより需給緩和感が後退するとの見方から買いが先行する展開となった。また、欧州中央銀行(ECB)が来年からの段階的出口戦略を検討していると伝わり、ユーロが対主要通貨で買われ、ドル安を背景に原油買いが誘われた。これらを背景に上昇、WTI期近1月限は一時54.44ドルまで値を上げた。しかし、前日高値54.55ドルには届かず、その後は軟調ムードへと転じた。
OPEC総会で減産が決定する可能性は高いものの、減産幅や減産期間など詳細な内容に不透明感が残っており、市場均衡に向けた策が奏功するのか否かも不透明な状況。そのため、協議内容の結果を見極めたいとして持ち高調整の動きに転じ、手仕舞い売りに押される格好となった。また、ブッシュ(父)元大統領の追悼日に伴い、米エネルギー情報局(EIA)の週間石油統計の発表が延期されたため、ビッグイベントが重なることもあり、玉整理の動きが強まったことも下げ圧力が増す要因に。序盤の上げ幅を縮小し、マイナス圏へと値を沈めて取引を終えた。
原油情報 2018年12月05日
12/05号
4日の原油相場は続伸。需給改善への期待から序盤は買いが先行、WTI期近1月限は一時54.55ドルまで上昇した。しかし、午後に入り株価が下落したことを受け、リスク回避の動きから上げ幅を縮小した。
6日に開催される石油輸出国機構(OPEC)総会では日量130万バレルの協調減産で合意するとの見方が広がっている。カナダでも特例の減産命令が発動されたこともあり、世界的な余剰感が解消に向かうとの期待が相場を押し上げた。前日の戻り歩調も重なり、強気なセンチメントにより上値を切り上げ、期近ベースとしては11月23日以来の高値まで値を戻した。
しかし、その後は上値重い商状に転じた。貿易摩擦を巡る不安が再燃し株価が下落、リスク選好ムードが高まりつつあるなかでムードが反転したことで、リスク敬遠の流れが強まった。株価が急反落したことを眺め、原油相場も序盤の上げ幅を削る動きとなった。また、OPEC総会では減産合意の見方が強いものの、ロシアが減産に後ろ向きであること、カタールの脱退表明などもあり、足並みが乱れていることも不安材料視された。プラスサイドで引けたが、上げ幅を急縮小している。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比540万バレル増加した。事前予想は90万バレル減。米エネルギー情報局(EIA)の週間石油統計は、ブッシュ(父)元大統領の追悼に伴い、発表日は5日から6日へと延期されている。
原油情報 2018年12月04日
12/04号
週明け3日の原油相場は反発。米中貿易戦争の一時休戦を受けてリスク選好度が高まったことで買いが先行した。カナダのアルバータ州が減産方針を示したことも支援材料となった。
前週末の米中首脳会談で、追加関税を一時的に見送るなど両国は貿易摩擦解消に向けて取り組むことで合意した。貿易戦争の一時休戦となる米中合意を市場は好感、リスク選好の流れから外為市場ではドルが対ユーロで下落、株式市場は上昇、そして原油相場も連れて買いが先行する展開となった。
また、カナダ最大の原油生産州であるアルバータ州が減産命令を下したことも買い材料視された。同州の首相は前日、余剰感が強いことや重質原油の下落を理由に、州内石油関連業者に対し日量32.5万バレルの減産命令を下した。オイルサンドの生産が増え続けるなか、輸送インフラが追いついておらず、在庫が積み上がった状態にある。過剰供給を背景に同国産重質原油は安値圏にあり、同国のエネルギー業界は危機的な状況に陥っている。この危機を緩和させるべく、原油およびビチュメンの生産量を1月から8.7%削減するなどの施策を講じる。
これらを背景に買いが優勢となったが、戻り高値は限られた。米中合意は好感されたとはいえ、追加関税の発動までには90日間の猶予しかなく、交渉がまとまらない可能性も孕んでおり、原油需要への影響も残る。また、6日には石油輸出国機構(OPEC)総会を控えていることもあり、上値を積極的に買い進むには至らなかった。
(提供元:CREEX)