2018年11月13日~11月19日
原油情報 2018年11月19日
11/19号
週末16日の原油相場は総じて小安い。約1年ぶりの安値を付けた後ということもあり、短期的な戻りを期待した買いが先行した。石油輸出国機構(OPEC)らによる減産観測も買いを促した。しかし、米国の原油在庫が8週連続の増加となったことや、リグの稼働数が増えたことが嫌気され、終盤は上げ幅を縮小、期近2限月は前日と同値で、3番限以降は小幅ながらマイナス圏に値を沈めた。
週末を控えていることもあり、持ち高調整から買戻しが先行した。来月のOPEC総会では、日量100-140万バレルほどの減産で合意するとの見方が広がっている。需給緩和感の解消への期待も買戻しにつながった。また、直近に約1年ぶりの安値へと値を崩したこともあり、その反動から戻り期待の買いも出たとみられる。WTI期近12月限は一時57.96ドルまで値を戻す場面も見られた。
しかし、上値を買い進む動きは見られず。ポジション整理絡みの買戻しが一巡すると、改めて米国の原油需給の緩みが嫌気された。前日発表された週間石油統計で、原油在庫は8週連続の積み増しとなった。さらに原油生産量が過去最高となったことが示されたうえ、この日に米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数が前週から2基増え、2015年3月以来の高い水準となったこともあり、需給緩和感がより強まるとの見方が上値を抑えた。期近限月は往って来いとなり、2月限以降はマイナス圏で取引を終えた。
原油情報 2018年11月16日
11/16号
15日の原油相場は続伸。石油輸出国機構(OPEC)らによる減産の可能性が意識され、やや買いが優勢となった。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比1000万バレルを超える増加となり、事前予想の増加幅を大幅に上回った。しかし、これに対する市場の反応は限れられた。ガソリンやディスティレート在庫が減少したことが打ち消した格好。また、1年ぶりの安値を付けた後ということもあり、値ごろ感から安値拾いの買いも入ったため、原油在庫の大幅増が下落に結びつかなかった。
ブルベア思惑が交錯するなか、OPEC加盟国および非加盟国が来年に減産を検討しているとの報が引き続き買い材料視された。世界的に在庫が高水準にあること、市場への供給が十分であることなどから、OPECらは次回の12月総会で減産を検討する公算が大きい。日量100万バレルあたりの減産検討となる模様だが、一部では最大で同140万バレルの減産を検討するとの声も聞かれている。これらの観測を背景に買いがやや優勢となった。
足元の供給に余剰感があるため、減産の可能性は高いと判断できるが、米国の原油在庫の増加に対しての反応が薄かった点には注意が必要である。週末を控え、巻き戻しの動きも期待されるが、上値重い商状が続くと、改めて原油在庫の大幅増が弱材料視される可能性がある。
原油情報 2018年11月15日
11/15号
14日の原油相場は反発。直近の大幅下落に対する反動から、短期的な戻りを期待した買いに支えられ13営業日ぶりに反発した。
対イラン制裁に伴う供給減少を回避するため、主要産油国の増産が続く一方、景気減速への懸念から需要が抑制されるとの見通しのもと、米エネルギー情報局(EIA)、OPECに続いて国際エネルギー機関(IEA)の月報でも石油市場の弱気な見通しが示された。これを受け、時間外取引は上値が抑えられた。
しかし、売りが一巡すると、目先の戻り期待から押し目買いや買戻しが優勢となり、切り返す動きへと転じた。戻り始めると、次回石油輸出国機構(OPEC)総会で協調減産が再始動するとの見方も出始めた。サウジの石油相は日量100万バレルの減産が必要との認識を示したが、これに対してトランプ米大統領は牽制するツイートをしたことで、市場は売りで反応していた。ただし、日量100万バレルの減産が必要との見解は、共同閣僚監視委員会(JMMC)においてOPEC加盟・非加盟国の意見が一致したものであり、次回12月に開催されるOPEC総会ではこれが議題に上がり、再度協調減産を決める可能性がある。さらに、足元の高水準な在庫、潤沢な供給を踏まえると、日量100万バレル以上の減産の可能性もあり、このことについて検討しているとの報も入った。そのため戻り歩調が強まり、この日の安値55.13ドルから高値57.37ドルと一時2ドル超の上昇となった。
ただし、買いの勢いは限られた。米国の原油在庫が増加するとの予想が上値を抑え、終盤にかけて上げ幅を削った。事前予想では320万バレルの増加が見込まれている。引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計では、880万バレル増の大幅増加が示されたため、時間外取引も売り優勢となり、56ドル前後の水準で取引されている。
原油情報 2018年11月14日
11/14号
13日の原油相場は急続落。需給緩和への警戒から売りが売りを呼ぶ展開となり、過去最長の12営業日続落となった。WTI期近12月限は一時54.75ドルまで下落し、期近ベースとしては約1年ぶりの安値を付けた。
イラン産原油の禁輸措置に備え、イラン以外の主要産油国が増産態勢に入るなか、米国が8カ国に対して禁輸の適用除外を認めたことで、供給量がこれまで以上に増えることが見込まれる。また、米国のシェール生産量が右肩上がりに増え続けており、この先も増加する見通しとなっている。世界的に在庫も積み上がっており、余剰感が強まっている。このような状況のなか、石油輸出国機構(OPEC)がこの日に発表した月報のなかで、世界石油需要見通しが従来予想から引き下げられた。景気減速に伴う中国需要の低下も懸念されており、需給は大幅に緩むとの見方が広がった。また、需給が緩むとの分析から、OPECらは前日、来年に日量100万バレルの減産が必要との見解を示したが、これに対してトランプ米大統領が牽制したことも、引き続き売り材料視された。
58ドルを割り込むと、投げ(買い方の損失確定の手仕舞い売り、損切り)が膨らみ下げ幅を加速、節目では買戻しのオーダーも入ったが、それらをすべて吸収すると再度節目を割り込んで投げが出てくる循環。売りが売りを呼びパニック売りの相場展開となり、下げ幅を拡大した。なお、今週の週間石油統計(ベテランズデーに伴い15日発表予定)で原油在庫は前週比300万バレル増が見込まれており、需給緩和への警戒がより強まっている。
原油情報 2018年11月13日
11/13号
週明け12日の原油相場は続落。主要産油国による減産の可能性を背景に買いが先行する場面もあったが、トランプ米大統領が減産方針を牽制、さらに米株式市場の大幅安も重なり、マイナスサイドへ転落、11営業日続落となった。WTI期近12月限は一時58.68ドルまで下落、期近ベースとしては2月中旬以来の安値を付けた。11営業日続落は過去最長。
前日、石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟国からなる共同閣僚監視委員会(JMMC)が開かれ、石油市場について協議した。世界的な景気減速に伴い供給が需要を上回るとの見通しのもと、来年は減産が必要との認識で一致した。減産緩和から増産へとシフトしつつあるなか、再度減産に動くのではとの見方が広がり、買い先行から61ドル台へと値を戻していた。
しかし、これに対しトランプ米大統領が、サウジとOPECは減産しないことを願うとツイート、原油価格は供給量に基づいてもっと引き下げられるべきと言及した。原油価格上昇を招く可能性のある減産方針に対して牽制する発言をしたことで、市場のムードは一転して売り気が強まった。さらに米株式市場が大幅安となり、投資家心理が悪化したことも原油売りに拍車を掛けた。大幅に買い越していたファンド筋を中心とする手仕舞い売りに押され、序盤の上げ幅を削るとともにマイナス圏へ値を崩し、前週末の安値を割り込んだ。
(提供元:CREEX)