2018年10月16日~10月22日
原油情報 2018年10月22日
週末19日の原油相場は反発。ドル安、株高、中国の石油精製量の増加を背景に買いが優勢となった。週末を控え、直近の下落に対する反動から値ごろ買いも出た模様。また、納会前の持ち高調整の動きにもサポートされた。
イタリア予算案を巡る懸念が後退したことなどからユーロが対ドルで上昇した。また、米中株式市場が持ち直す動きを示したこともあり、リスク選好度が高まったことで、原油相場も買われた。投資マネーの動きから堅調ムードとなったほか、中国の9月の石油精製量が増えたとの報もあり、同国の需要減退懸念が和らいだことも相場上昇の追い風となった。
リスク選好や中国材料に加え内部要因からも買われた。直近の下落により売られ過ぎ感が意識された。週末を控えていることもあり、玉整理からの買戻しも出たとみられる。また、納会事情も重なり、買戻しムードが強まった格好。WTI期近11月限は一時69.77ドルまで値を戻した。
買い優勢となったが上値は重かった。米国のリグ稼働数が2015年3月以来の高い水準となった。11月の米国の生産量は増加が見込まれており、リグ稼働数の増加により先行きの供給増がより警戒された。節目の70ドルを前に上値が重くなると、その後は利食い売りに押され、上げ幅を縮小して引けている。
原油情報 2018年10月19日
18日の原油相場は続落。需給引き締まり観測が後退したことで売りが先行の流れが続いた。ドル高や株安も相場の重石となった。WTI期近11月限は一時68.47ドルまで下落する場面も見られた。
前日の米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫が予想以上の積み増しとなったことが引き続き嫌気された。ここ1ヶ月弱の間に2000万バレル超の積み増しとなり、6月下旬以来の高水準となっている。一方、米国の対イラン制裁による供給減少見通しに関して、これまでの見通しほど需給はタイト化しないとの見方が広がっており、需給逼迫観測の後退から売り注文が続いた。
需給面での強気の見方が後退するなか、ドル高、株安を受けた市場からの資金撤退により下げ足が強まった。外為市場では、米国の追加利上げ観測、イタリアの予算をめぐってEU当局が財政規律に違反すると警告したこと、これらを受けてドルは対ユーロで上昇している。株式市場は、イタリアの予算案問題に加え中国の景気減速懸念などから、世界的に軟調ムードにある。金相場が上昇していることからも、逃避需要が高まっていることが窺え、リスクオフムードが強まったことも原油相場にとっては圧迫要因となった。
納会前ではあるものの、11月限が12月限を下回り、向こう半年ほどの限月間のサヤはコンタンゴとなっている。限月乗り換えで中心限月は12月限に移行しているが、その12月限も1ドル近く値を下げており、市場参加者の弱気姿勢が窺える。
原油情報 2018年10月18日
17日の原油相場は大幅反落。米国の原油在庫の大幅増を嫌気した売りに押される展開となった。ドル高や株安も圧迫要因となり、WTI期近11月限は一時69.43ドルまで下落する場面も見られた。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は事前予想を上回る大幅な増加となった。輸入増、輸出減が在庫積み増しの主な理由。これで4週連続の増加で、うち3週続けて予想以上の大幅増となっており、需給緩和を警戒した売りが先行した。また、前日引け後に米石油協会(API)が発表した統計では原油在庫取り崩しが示されていたこともあり、その反動からも売りに拍車が掛かった。
軟調地合いのなか、ドル高、株安からリスク回避が強まったことも相場の重石となった。この日の午後に公表された9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受け、利上げ継続見通しが強まって国債利回りが上昇、ドルは買われる展開となった。これによりドル建てで取引される原油に割高感が意識された。一方株式市場は、株価急落の引き金となった金利上昇懸念が再度強まったため、この日は再び売られる展開に。これらマネーの流れからリスクオフムードが強まり、リスク資産の一角とされる原油も売られた格好。
このほか石油輸出国機構(OPEC)事務局長が、サウジのエネルギー相が原油供給不足に陥らないようにすると確約したことを明らかにしたことや、節目の70ドルを下抜いたことでロスカットオーダーを巻き込んだことなどにより、下向きのバイアスが強まった。
原油情報 2018年10月17日
16日の原油相場は小幅続伸。サウジアラビアからの供給に対する不透明感から買いが優勢となった。米株式市場が上昇したこともサポート要因となった。
サウジの記者が行方不明になった問題が、米国とサウジの関係悪化につながりかねないとの見方から買いが先行した。米国はサウジに増産を要請しているが、関係が悪化することでサウジからの供給が滞ることが懸念されている。複数の米メディアは、サウジ政府が記者を尋問中に手違いで死亡させたと事故死での結論で幕引きを図るのでは、と報じているが、一部では殺害に確証ありとの報もあるため、引き続き予断を許さない状況にある。同問題のほか、米株式市場が大きく上昇したことにも支援された。この日発表された住宅指標など米経済指標が良好だったこと、明るい内容の企業決算が発表されたことなどを好感、株式市場は堅調に推移した。これにより投資家心理がやや改善され、リスク選好度が回復したことで、リスク資産の一角とされる原油にも買いが入った。
ただし、上値は限られた。前日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した掘削報告で、11月の生産量が過去最高を更新するとの見通しが示されたほか、今週の週間石油統計で原油在庫が4週連続の増加となるとの予想もあり、上値では買いが手控えられた格好。なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比210万バレル減と事前予想(220万バレル増)に反して減少した。これを受けて時間外取引では買いが優勢となり、72ドル台へと値を上げている。
原油情報 2018年10月16日
週明け15日の原油相場は続伸。サウジアラビアを巡る地政学的リスクの高まりから買い優勢となった。また、ドルが下落したことも支援材料。
サウジ政府に批判的な記者の失踪を巡って、サウジアラビアと米国との関係が悪化する可能性が浮上している。サウジ政府が殺害したとの疑惑もあり、状況次第では関係強化に努めてきた米国は処罰を加えることもあるという。これに対してサウジ側は、経済制裁などの措置があった場合には対抗措置もあると強気姿勢。石油輸出国機構(OPEC)の盟主であるサウジアラビアの地政学的リスクを背景に、原油は買われた。
米国は来月から対イラン制裁を再発動することで、イラン産原油の供給が減少する。その減少分の穴埋めに、サウジアラビアが中心となり増産している。中東におけるイランの影響力を抑止し続けるためにも、この局面で米政権はサウジ批判を強めたくないのが実状。また、イラン産原油の禁輸による原油高を回避するためにも、サウジには増産し続けてもらいたいところ。サウジとの関係が悪化すると、原油高を嫌う米国の増産要請を退け原油高を誘発、インフレ、金利上昇、株安といった負の連鎖を招きかねない。市民の原油高への不満がそれすなわち政権批判にもつながりかねないため、内政上の事情からもトランプ米政権はこの問題を抑えたい。サウジと緊密な関係を維持できるか、この件に関してポンペオ米国務長官はサウジのサルマン国王と会談する。
(提供元:CREEX)