2018年10月10日~10月15日
原油情報 2018年10月15日
週末12日の原油相場は反発。株価上昇に伴い投資家心理が改善、買い戻される展開となった。
需給面では弱気な材料が散見された。国際エネルギー機関(IEA)が公表した月例報告で、世界石油需要見通しは従来予想から下方修正された。米エネルギー情報局(EIA)、石油輸出国機構(OPEC)の月報に続いて同様の見通しが示されたことで、需給緩和を警戒した動きから原油相場は一時売りが先行した。また、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数が増えたことも重石に。WTI期近11月限は70.64ドルと前日安値70.51ドルに迫る場面も見られた。
しかし、取引終盤に株式市場が反発したことで、リスク選好が強まったことに支えられた。急落が続いていた株式市場だが、直近の下げにより売られ過ぎ感が台頭、また週末を控えているタイミングも重なり、持ち直す動きとなった。世界的な株安の連鎖が一旦止まったことで、投資家のリスク選好意欲が回復に向かい、リスク資産の一角とされる原油にも買いが入った。巻き戻しの動きが強まり、下げ幅縮小からプラスサイドに浮上して取引を終えた。
原油情報 2018年10月12日
11日の原油相場は大幅続落。需給緩和への警戒感と世界同時株安の影響から売りが先行した。WTI期近11月限は一時70.51ドルまで下落し、期近ベースとして9月21日以来の安値を付けた。
石油輸出国機構(OPEC)はこの日、10月の月報を公表した。今年および来年の世界石油需要見通しを下方修正、一方で供給見通しを上方修正した。前日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した短期エネルギー見通しでも、需要減・供給増見通しが示されており、先行きの需給悪化が意識される格好となった。また、米国の原油在庫の積み増しも嫌気された。EIA週間石油統計で、原油在庫は事前予想を大幅に上回る増加となった。前週に続く大幅な積み増しとなり、需給不均衡への警戒が強まった。
これら足元の需給および先行きの需給見通しが概ね弱気な内容となったことで売りが優勢となるなか、米株式市場が連日の大幅安となり、ベアなムードに拍車が掛かった。世界同時株安の影響からリスク回避度が増し、投資家心理の冷え込みは原油相場にも波及。安全資産とされる金が買われるなど、投資マネーの潮流はリスクオフが鮮明となっている。値を下げる毎に売り急ぐ市場参加者が増え、売りが売りを呼ぶ展開から大きく値位置を切り下げた。
原油情報 2018年10月11日
10日の原油相場は反落。米国の原油在庫の積み増しが予想されているうえ、株価急落によりリスク回避ムードが強まったことから、手仕舞い売りが膨らみ値を下げた。
米エネルギー情報局(EIA)が10日に発表(コロンブスデーの影響で1日遅れ)する週間石油統計で、原油在庫は260万バレルの増加が予想されている。前週の統計で、事前予想を大幅に上回る増加となった後ということもあり、在庫積み上げにより需給緩和感が強まることが嫌気された。また、EIAがこの日に発表した短期エネルギー見通しのなかで、世界石油需要見通しを下方修正、供給見通しを上方修正したこと、さらにハリケーン「マイケル」による影響が限られるとの見方も弱気を誘った。
イラン産原油輸出を巡る懸念が和らいだことも圧迫要因。インドはイラン産原油の購入発注を明らかにしているが、それでもなお国内需要を満たすことが出来ない模様。これに対して米国が制裁の適用除外を検討しているうえ、サウジアラビアはインド向けの輸出量を増やすと伝わった。先の会合でサウジアラビアとロシアは水面下の増産合意に達したとみられており、イラン産原油供給の減少分を他の産油国で十分補完可能であるとの見方が広がった。
需給引き締まりへの警戒が和らぐなか、米国の株式市場が急落し、投資家心理が冷え込んだことも下げ足を速めた。良好な米経済指標を受けて追加利上げ観測が強まり、長期債利回りが上昇していたが、先行き景気への影響を警戒した動きから株価が急落した。リスク選好度が低下したことで、リスク資産の一角とされる原油にも売りが集まった格好。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比975万バレル増と急増した。これを受けて時間外取引では、72ドル半ば付近まで値を崩している。
原油情報 2018年10月10日
9日の原油相場は反発。ハリケーン懸念を背景に買いが先行した。また、イランの原油輸出量が減少していることも支援材料。
米メキシコ湾内に発生しているハリケーン「マイケル」が10日午後にもメキシコ湾岸に上陸する見通し。上陸地点はフロリダ州からアラバマ州にかけての予報。石油精製施設はさほど多くはない地域だが、ハリケーン接近を受けて海上の石油生産施設のおよそ20%が操業を一時停止している。原油供給に影響が出るとの見方から買いが入った。
イランからの原油輸出量が減っているとの報もサポート要因となった。ロイターのファイナンシャル・リスク部門から派生した新会社リフィニティブ・アイコンのデータによると、10月に入ってから同国原油輸出量は日量100万バレルを下回っているという。トランプ米大統領がイラン核合意離脱を5月に表明したが、その前の4月の輸出量は同250万バレルだった。その後、イラン産原油の禁輸を各国に求め、9月の輸出量は同190万バレルへと減少していた。今月に入り、さらに減少していることが明らかとなり、供給タイトへの懸念が広がった。
これらを背景に買いが先行、WTI期近11月限は一時75.28ドルまで上昇した。ただし、サウジアラビアの増産示唆、国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しの下方修正など弱材料もあったため、上値を買い進む動きは限られた。
(提供元:CREEX)