2018年10月30日~11月5日
原油情報 2018年11月5日
週末2日の原油相場は続落。米国がイラン産原油の禁輸措置の適用除外を認める方針を示したことで、需給引き締まりへの警戒感が後退し売りが先行した。WTI期近12月限は一時62.63ドルまで下落し、期近ベースとしては4月以来の安値を示現した。
5日から米国は対イラン制裁を再発動し、それに伴いイラン産原油の輸入を止めるよう各国に求めてきたが、8カ国については一時的に適用除外を認める方針を示した。適用除外の対象は5日に公表される予定だが、日本やインド、韓国などが含まれる模様。同報を受け、供給がタイトになるとの警戒感が急速に和らいだ。これまで下支え要因だった供給不安が後退、さらに米国、サウジアラビア、ロシアといった産油大国が増産体制にあることもあり、需給が緩むことが警戒され、売りが先行する展開となった。
また、外為市場でドルが対ユーロで上昇したことも相場の重石となった。良好な米雇用統計を受け、米経済の拡大が続いているとの見方からドルは上昇、ドル建てで取引される原油に割高感が意識された。週末を控えていることも重なり、玉整理に伴う売りも誘われ、前日安値を割り込むに至った。
原油情報 2018年11月2日
1日の原油相場は続落。需給緩和観測を背景とした売りが続いた。前日安値を割り込んだことで投げが膨らみ、WTI期近12月限は一時63.11ドルとおよそ半年ぶりの安値を示現した。
特段目新しい材料はなく、かつドル安、株高となったが、世界的に供給過剰の状態が続き、需給が緩むとの見方から軟調地合いを継続した。前日、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で原油在庫が6週連続の積み増しとなったことが改めて売り材料視された。生産増加傾向が続くなかで、在庫水準が大幅に上がっている。米国の原油供給にダブつき感が意識される状況下、10月のロシアの産油量がソ連崩壊後最高水準を記録したとの報もあり、世界的な需給緩和感が広がった。
手仕舞い売り先行から値を下げ、前日安値付近の65ドル前後で揉み合いが続いたが、同水準を下抜くと市場のセンチメントは急速に弱気へと傾倒、売りが売りを呼ぶ展開となり下げ幅を拡大した。内部要因、テクニカル主導で1時間もかからずに右肩下がり一辺倒で2ドル近くの下落に。63ドルを前に売りが途切れたことで、その後は63ドル半ば付近で小康状態となった。
原油情報 2018年11月1日
31日の原油相場は続落。需給緩和見通しを背景とする売りに押される展開となった。WTI期近12月限は一時64.81ドルまで下落、期近ベースとしては8月中旬以来、約2ヶ月半ぶりの安値を示現した。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は増加するも市場予想ほどは増えなかった。一方、ガソリンやディスティレート在庫が予想以上の取り崩しとなったことを市場は好感、一時買いが先行する場面もあった。
しかし、その買いが一巡すると、その後はまとまった売りに押される展開に。原油在庫は予想ほど増えなかったものの、これで6週連続の積み増し。この間に在庫は3200万バレル近く増えている。10月から戦略石油備蓄(SPR)の放出が続いているが、その放出量は500万バレル程度であり、民間の原油在庫の増加ペースが著しい。しかも、輸入量が減り、輸出量が増えたにもかかわらず、在庫は積み上がっており、供給不安が極めて乏しいことが確認できる。なお、原油生産量は過去最高を更新した。米国の原油需給の緩みに加え、サウジアラビアおよびロシア、そしてその米国を加えた3カ国の9月の産油量が記録的な高水準になったとのデータも舞い込み、市場のムードは一転した。
また、底堅い米経済を背景とする動きから、外為市場でドルが対ユーロで上昇した。これによりドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下したことも相場の重石となった。通常取引開始前の65ドル後半の水準を割り込むと、投げが膨らみ下げに拍車が掛かり、65ドル割れ水準まで急速に値を冷やした。
原油情報 2018年10月31日
30日の原油相場は続落。米中貿易戦争への懸念から売りが優勢となった。WTI期近12月限は一時65.33ドルまで下落し、期近ベースとしては8月以来の安値を付ける場面も見られた。
11月末に予定されている米中首脳会談が不調に終わった場合、米国は対中制裁関税第4弾を発動する方針を示した。米中の貿易戦争に伴う景気減速、原油需要減退観測などを手掛かりに、市場のムードは弱気を維持、売りが先行した。ベアなムードのなか、米国の原油在庫が増加するとの観測も相場の重石に。原油在庫は前週比410万バレル増と6週連続の積み増しとなることが見込まれている。このほか、サウジやロシアの増産観測、国際エネルギー機関(IEA)事務局長の先行きの原油需要に対する懸念見解なども圧迫要因となり、WTI期近12月限は65.33ドルまで値を冷やした。
直近安値更新から売り気が強まるかに見られたが、その後は買い戻される展開に。米中貿易摩擦への懸念は根強くあるものの、トランプ米大統領が対中通商に関して素晴らしい合意に至るとの見解を示したことで、投資家心理が改善に向かった。また、心理的な節目である65ドルを割り込まなかったことも、短期戻り期待の買いを誘った。下げ幅縮小から66ドル台を回復して取引を終えている。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比570万バレル増と市場予想を上回る増加となった。時間外取引では、これに対する市場の反応は今のところ乏しい。
原油情報 2018年10月30日
週明け29日の原油相場は反落。ドル高、株安の影響を受け売りが優勢となった。また、ロシアの高水準な原油生産が続くとの観測も上値を抑えた。
外為市場ではドルが対ユーロで上昇した。この日発表された9月の個人消費支出(PCE)は7ヶ月連続の増加となった。市場予想通りではあったが堅調さを維持していることからドルは対主要通貨で買われ、ドル建てで取引される原油に割高感が意識された格好。また、株安も原油売りにつながった。トランプ米大統領が対中追加関税を用意しているとの報が入り、米中貿易摩擦を巡る懸念が再燃、株価は大幅に値を崩した。リスク回避の流れは原油相場にも波及し市場心理を冷やしたうえ、株安による先行き景気への不安から原油需要の鈍化も懸念された。
ロシアの産油動向も圧迫要因に。ノバク・エネルギー相は前週末、産油量を凍結や削減する理由はないとし、今後も高水準の産油レベルを維持する意向を示した。石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟国による共同閣僚監視委員会(JMMC)は、世界的に在庫が積み上がっていることから生産削減を再検討する可能性があると警告、これを市場が好感したばかり。これに対して非加盟国盟主のロシアが産油量に制限を設けたり、もしくは減らしたりする根拠や理由はないと明言したことで、市場のセンチメントは弱気に傾倒した。
(提供元:CREEX)