2018年10月2日~10月9日
原油情報 2018年10月9日
末5日の原油相場は方向感を欠いた展開。ブルベア要因が交錯、決め手難の展開となった。
イラン産原油の供給減少懸念、前日に大幅に値を下げた反動から買いが先行した。また、この日発表された9月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想ほど増えなかったことで、ドルが対ユーロで軟化、ドル安もサポート要因となった。これらを背景に、WTI期近11月限は一時75.22ドルまで上昇する場面も見られた。しかし、週末を控えていることから持ち高調整絡みの売りに押され、その後は上げ幅を縮小する展開に。前日とほぼ同水準で取引を終えた。なお、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが公表した統計で、リグ稼働数は前週比2基減と減少したが、市場の反応は限られた。
週明け8日の原油相場は小幅安。米国がイランに対する姿勢を緩めるとの見方からやや売りが優勢となった。ドル高も重石に。
米国は11月からの対イラン制裁再発動に伴い、各国にイラン産原油の輸入を停止するよう求め、これに反する国や企業に対しても制裁を再発動する方針を示していたが、輸入を減らしている一部の国に対して適用除外とすることを検討していると伝わった。インドは11月分のイラン産原油の購入発注を明らかにしており、イランからの供給減が需給逼迫につながるとの見方が和らいだ。サウジアラビアやロシアなどの増産もあり、過度の懸念が後退している。また、ドルが対ユーロで上昇したことも圧迫要因となった。売りが先行したが、米メキシコ湾内で発生しているハリケーン「マイケル」に対する警戒やクッシングの原油在庫が減少したとの報もあり、下げ幅を縮小して取引を終えている。
原油情報 2018年10月5日
4日の原油相場は大幅反落。主要産油国の増産計画の報や株価下落を受けたリスク回避の動きから、売りが先行する展開となった。直近の上昇に対する反動もあり、手仕舞い売りに押され下げ幅を広げた。
イラン産原油の輸出減少への懸念から強基調にあったが、石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟国の盟主であるサウジアラビアとロシアが、水面下で増産合意に達していたとの報が入った。直近の会合では増産の公約は見送られたが、両国は9月に原油生産量をひそかに日量100万バレル増やしたという。さらに生産量を増やす方針も示しており、トランプ米大統領の呼びかけに対応した密約が明らかとなった。市場はこれを嫌気し、需給引き締まりへの警戒感が和らぎ、売りが先行する展開となった。
下げに転じたことで、前日の米原油在庫の予想以上の増加が改めて弱材料視された。また、米株式市場が軟化したことで、リスクオフムードも手仕舞い売りに拍車を掛けた。直近に過熱気味に上昇した反動もあり、売り急ぐ向きも多く、下げ幅を拡大する動きとなった。WTI期近11月限は一時73.88ドルまで下落、前日高値から3ドル超の下落となる場面もあった。
原油情報 2018年10月4日
3日の原油相場は反発。イラン産原油の供給減少により需給が引き締まるとの見方から買いが優勢となった。WTI期近11月限は一時76.90ドルまで上昇し、期近ベースとしては約4年ぶりの高値を付けた。
国際司法裁判所(ICC)はこの日、米国の対イラン制裁再発動に関し、イランが米国に対して起こしている訴訟を部分的に認める予備的判決を承認した。一部制裁を解除するよう命じた格好だが、イランはICCを政治的および宣伝目的で悪用しているとポンペオ米国務長官は反論、強気な姿勢を崩していない。そのため、ICCの判決が米国の対イラン制裁再開にさほど影響を及ぼさないとの見方が広がり、イラン産原油の供給が減少し、世界的に需給タイト化が進むとの思惑から相場は押し上げられた。
ほぼ4年ぶりの高値まで値を切り上げたが、対イラン制裁に関しては不透明感があるうえ、足元の需給要因からはさらなる上昇には懐疑的な見方も多い。出遅れた売り方の踏み(損失確定の買戻し)が続いたことで上げ足強め、投機色が強まった可能性も否めない。米エネルギー情報局(EIA)がこの日に発表した週間石油統計では、原油在庫は予想以上に積み上がった。また、サウジアラビアは10月の産油量を日量1070万バレルにまで増やし、11月以降はさらに増産する意向を示している。これらの報を受けて売りが先行する場面もあったが、その動きは限定的であり、このことからも相場が過熱気味であることが窺える。イラン関連で煽られている感もあり、噂で買って事実で売るといった相場の格言もあるため注意したいところ。
原油情報 2018年10月3日
2日の原油相場は反落。貿易摩擦を巡る不透明感が薄れたことで、時間外取引でWTI期近11月限は一時75.91ドルまで上昇、約4年ぶりの高値を示現したが、その後は利益確定の売りに押され、マイナスサイドで取引を終えている。
北米自由貿易協定(NAFTA)最高賞の3カ国合意を受け、貿易摩擦への警戒感が和らぎ、前日の堅調地合いを引き継いだ買いが押し上げられた。一時75.91ドルまで上昇する場面も。しかし、4年ぶりの高値を付けたこと、週間石油統計の発表を控えていること、ドルが対ユーロで上昇したことなどから利食い売りに上値を抑えられた。また、週間石油統計で、原油在庫は2週連続の増加が見込まれていることも圧迫要因となった。稼働率低下などにより、原油在庫は前週比200万バレルの増加することが見込まれている。この予想のもと、一旦利益を確定する動きから売りに押された。イタリア財政不安などを手掛かりに、外為市場でドルが対ユーロで上昇したことも重石となった。
しかし、下値は堅かった。引き続きイラン産原油の供給減少による需給引き締まりへの警戒が強い状況に変化はない。そのため、利食い売りに押されたとはいえ、安値74.93ドルと底堅く、積極的な売りは見られず。利食い売りが一巡すると、再び下げ幅を縮小する動きとなった。
なお、引け後に米石油協会(API)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比90.7万バレル増と増加したが、予想ほど増加しなかったため、特段目立った動きは見られていない。米エネルギー情報局(EIA)の週間石油統計の発表待ち。
原油情報 2018年10月2日
週明け1日の原油相場は大幅続伸。貿易摩擦への懸念が和らぎ、買いが先行する展開となった。WTI期近11月限は3営業日続伸、一時75.77ドルまで上昇し、期近ベースとしては約3年10ヶ月ぶりの高値を示現した。
引き続き米国による対イラン制裁再発動を前に、供給減少を懸念した動きから市場のムードはブルに傾いていた。米国は各国にイラン産原油の輸入停止を求めており、需給が引き締まるとの見方が強い。このような状況下、米国とカナダが北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で妥結したと伝わり、貿易摩擦への懸念が後退、好感した買いが膨らんだ。交渉が難航して1年以上に及ぶ紆余曲折を経たが、両国およびメキシコの北米3カ国の枠組みは維持される見通しとなった。
(提供元:CREEX)